ヒヌカンを新しく仕立てる☆迎え入れの拝み方とは
ヒヌカンの神様を迎え入れる時、沖縄では習わしに従って御願をしますよね。
ヒヌカンを仕立てることは沖縄では「ヒヌカンシタティ」と言いますが、これをユタさんにお願いする人も多い一方、自分で仕立てるおばぁも多いです。
ちなみに、ヒヌカンを新しく仕立てるパターンでは、独立して新しく居を構える時や、(実家にもヒヌカンがないなどの理由で)全く新しく仕立てることもあります。
ただ、ヒヌカンの仕立て方が分からないと、困りますよね。そこで今日は、「全く新しく」ヒヌカンを仕立てる場合の、「ヒヌカンシタティ」の御願~ヒヌカンの神様の迎え入れ方(拝み方)~をお伝えします。
ヒヌカンを新しく仕立てる☆
迎え入れの拝み方とは
ヒヌカンを全く新しく仕立てる方法
もともとヒヌカンは、子どもが独立して新しい家庭を築く時に、親から子へと引き継がれるものですよね。けれども、今では実家にヒヌカンがないこともあります。
【 全く新しくヒヌカンを仕立てるには 】
★ 現代最も多い方法は、灰も全く新しいものを購入して、住まい近くの「地域の」御嶽に報告し、ヒヌカンに来てもらう方法です。この場合、御嶽とともに地域の産川(ガー・ウフガー)にも拝みを捧げます。
・ もうひとつは、実家の先である「宗家(ムートゥーヤー)」に灰を分けていただく方法です。
地域の御嶽や産川は、入っている自治会で尋ねてみてください。現代の市町村ではなく、昔の区分けで区切られていることが多いので、地元の人に聞くと安心です。
地元に火の神様がいらっしゃれば、火の神様も訪れてください。
御嶽・産川を巡る前に
揃えてきたヒヌカン道具は塩水(潮水)で洗い乾かし清め、それぞれにチャーギ(クロトン)を活け、塩・お酒・お茶をお供えしてください。これが、日ごろお供えする、ヒヌカンの基本です。
【 御嶽・産川(火の神)を巡る前の拝み 】
★ 御嶽・産川を巡る日の朝は、ヒヌカンに赤ウブク(赤いご飯)を三膳供えます。お茶碗の下にはシルカビ(※)を敷いてください。
・ ヒラウコーはタヒラ半(二枚と半分)を拝し、ヒヌカンへ「これから御嶽・産川へご報告し、ヒヌカンに来ていただきます。」とお伝えします。
ヒヌカンを仕立てると御願の機会が増えますが、「神様へ拝するヒラウコーは、タヒラ半(二枚と半分)」であることが多いです。ちなみにお仏壇へはタヒラ(二枚)と違いがあります。
(※)「シルカビ」はヒヌカンをはじめとする神様へ供える、半紙を四等分に千切り、さらに半分に折った紙です。沖縄の御願の世界ではこれを「神様への税金」と言います。
詳しくは別記事「【沖縄の御願】拝みに欠かせない「シルカビ」と「ウチカビ」」をご参照ください♪
御嶽・産川への拝み方
基本的な拝み方は、実家から灰を分けてもらう拝み方と変わりません。また、御嶽を巡る時は、携帯用の御願道具「ビンシー」を用意するのが一般的ですし便利です。
なければ「仮ビンシー」と呼ばれる、盆やタッパーなどにお供え物を並べて持参してください。
【 御嶽・産川を拝む準備 】
★ 持参するもの ★
・ ビンシー(お酒・花米・十円玉三つをセット)
・ バナナとりんご・みかんの盛り合わせ
・ ウチャヌク(※)を三セット
・ 塩
ビンシーにセットする「十円玉三つ」ですが、家や地域によってはこれが洗い米になります。手前の左右の器に花米、中央に洗い米か十円玉三つと並べます。
また、このほかに赤いまんじゅうもお供えする家もあります。準備をする場合は奇数個の三個・五個・七個のいずれかを準備してください。
(※)「ウチャヌク」は沖縄では馴染み深い、白いお餅を三段に並べたお供え物です。沖縄ではスーパーのお菓子コーナーや総菜コーナーでも売っています。(上記の写真が「ウチャヌク」です。)
【 御嶽・産川の拝み方 】
★ 着いたら準備をしたお供え物を並べ、ヒラウコーをタヒラ半(二枚と半分)置いて拝みを捧げます。
・ 拝む時には、住所と家族構成をお伝えした後、家族全員の干支と誕生日を報告してから、ヒヌカンの神様を迎え入れる準備ができていることを報告します。
帰宅後の拝み方
帰宅したら再び自宅のヒヌカンへ拝んでください。
【 帰宅後のヒヌカンへの拝み方 】
★ お供え物 ★
・ 基本のお供え物(花生け・お酒・水・塩)
・ シルカビ三組
・ 御嶽や産川でお供えをした、ビンシーとウチャヌク(三組)
・ 御嶽や産川でお供えをした、塩
① ヒラウコーをタヒラ半(二枚と半分)拝します。
② 玄関の扉を開けてください。
③ 御嶽・産川の拝みと同じように、住所や家族構成、干支と誕生日を伝えて、「家族皆をお見守りください。」と伝えます。
④ 御嶽でお供えをした塩を、ヒヌカンに入れてください。
⑤ ビンシーとウチャヌクを乗せたお盆を玄関へ持って行き、「これでヒヌカンの神様が入る準備ができました。」と伝えて迎えます。
…以上が一連の流れです。
いかがでしたでしょうか、今回は新しくヒヌカンを仕立てる場合の拝み方をお伝えしてみました。
本文中でお伝えしましたが、拝む先は御嶽や産川になるものの、拝み方は実家からヒヌカンを継承する場合とほとんど同じです。
ここで大切なことは、御嶽や産川で拝んだお供え物の膳(もしくはビンシー)を持ち帰り、そのままお供えし、塩を混ぜることです。
継承する場合には灰を混ぜますが、御嶽や産川から灰をもらうことはできないので、塩やお供え物で「繋ぎ」ます。
地域や家によって方法はさまざまですが、ぜひ本記事も参考にして周囲にも聞きながら、拝んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
新しくヒヌカンを仕立てる時の、御嶽の拝み方
・全く新しいなら御嶽や産川を巡る
・出掛ける日はヒヌカンへ赤ウブクを供える
・ビンシーを携え、御嶽・産川を巡る
・帰宅後に再びヒヌカンへ拝む
・拝んだ時のお供え物を供えて拝む
・お供え物にした塩はヒヌカンに入れる
・ヒヌカンに拝んだ後、玄関へ行き迎え入れる
・地域や家によって迎え入れ方もさまざまある
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