沖縄のお墓、継承問題☆本州との違いに見る3つの解決策
沖縄のお墓では、近年継承問題に悩むご家族も多いですよね。菩提寺を持たない家庭の多い沖縄では、お墓の継承問題を解決しないことには、墓地自体が無法地帯にもなり兼ねません。
沖縄では、お墓と位牌をセットで継承問題として取り沙汰され、昔ながらの長男継承が基本の「トートーメー問題」があります。
けれども暮らしぶりも様々に変わった現代、誰の負担もできるだけ少なく、沖縄のお墓の継承問題も解決したいですよね。
そこで今回は、先だって継承問題が起き、そして解決策を見出し始めた本州のケースを参考にしながら、沖縄のお墓問題、3つの解決策を探っていきます。
沖縄のお墓、継承問題☆ 本州との違いに見る3つの解決策
お墓を継承する者、今と昔
沖縄のお墓の継承問題が深刻化しているのは、昔から続く「しきたり」に現代の人々の暮らしが沿っていない側面もありますよね。
その昔は全国的にも、「家督相続」の旧民法があり、位牌やお墓をはじめとした「祭祀財産(※1)」と共に、主に長男が「家督」…、つまり全ての家の財産を継ぐ相続制度がありました。
けれども、現在の民法は違います。
※1 「祭祀財産」 … 位牌やお仏壇・お墓など、ご先祖様を供養する、祀るためのもの(財産)が「祭祀財産(さいしざいさん)」です。
★ この「祭祀財産」を継承する者を「祭祀継承者」と言いますが、現代の民法では原則として、祭祀継承者だからと言って、一切の家督を継ぐ訳ではありません。
・ 祭祀財産には相続税も掛からず、純粋な「財産」とは分けて考えられ、祭祀財産以外の純粋な財産は、全ての相続人に平等に分配されます。
沖縄のお墓の継承問題は、この昔ながらの「旧民法」の考え方が現代にも残されている点も、原因のひとつです。
「父方の血族」である「長男」が、トートーメー(位牌)と共に、住宅など一切の家督を継ぐことを、今でも求める声は多く聞こえます。
沖縄のお墓と位牌の継承問題は、位牌の沖縄言葉「トートーメー」を取って、「トートーメー問題」などとも言われてきました。
★ 一切の家督を継ぎ、お墓も継いでいたひと昔前とは、受け取る財産が違います。そのため、祭祀継承者の負担が違うことを理解して、話し合いをしてください。
では、そもそも「祭祀継承者」は、どのようにして選ばれるのか、また、断ることはできるのか…、気になりますよね。
この点については別記事「必ずお墓を引き継ぐの?「祭祀継承者」5つの知識」でお伝えしていますので、コチラも併せてご参照ください。
祭祀継承者の苦難
現代の民法では、祭祀財産と純粋な財産を別物として捉えていますから、いくら祭祀継承者になっても、他の相続人と純粋な相続財産は同じですよね。
けれどもお墓を引き継いだからには、毎年の供養やお墓の管理もしなければなりません。
体力的にも負担が大きいだけではなく、家督を継いでいる訳ではありませんから、経済的にも祭祀継承者一人に、負担が掛かってしまいます。
特に全国と比べると各段に大きく、管理も管理費も膨大になる沖縄のお墓ですから、継承問題も深刻化することは否めません。
★ 昔から沖縄では「模合(もあい)」と呼ばれる、お墓に関わる親族・一族で「必要なお金の積み立て」を行う制度があります。
・ これは父方の血族「門中(むんちゅう)」に顕著ですが、最近では「門中墓(むんちゅうはか)(※2)」から独立して個人墓を建てる家も多く、「門中」の人数自体が減少してきました。
…そうなると、お墓の管理の責任者は、もちろん継承者である墓主です。
純粋な財産は他の相続人と変わらず、沖縄では大変な事柄も多い、お墓にまつわる年中行事の主催をしなければならず、管理費も足らずは負担しなければなりません。
そのために、沖縄のお墓は継承問題が深刻化している…、とも言えます。
※2 「門中墓」は「家墓」や「先祖代々墓」のように、父方の血族である「門中」単位で入るお墓を指します。
門中によって様々ですが、大きな門中墓では、何千人単位の一族が眠るお墓もあるほどです。とても大きい規模であれば、法人化している門中も一部あり、これもひとつの解決策ながら実現が難しいです。
「祭祀継承者」の担う事柄についても、別記事「お墓を引き継ぐと言うこと☆継承前に心得る5つの事柄」でお伝えしています。
「長男」でなければならない問題
さらに沖縄のお墓(位牌)継承問題は、昔ながらのしきたりに拘る方も多い点があります。
全国でも昔はそうであったように、他家へ嫁ぐ可能性の高い女性はお墓を継ぐことができず、次男以降は結婚をしたら、新たにお墓を作る(独立)する…、と言うしきたりがありました。
昔ながらの沖縄のお墓の継承問題には、「お墓を継いだら、男の子を産まなければならない」「祭祀継承者としての負担を、子どもにも負わせなければならない」と避ける方が多い点もひとつです。
★ その昔には本州でも「長男相続」のしきたりが色濃くありましたが、現代では、こだわる方々もすっかり少なくなりました。
・ その理由のひとつは、そもそも本州のお墓は個人墓地にはなく、他者が管理する霊園に建てられる点にあります。最近では「永代供養」をお墓に付加して、継承者への負担を減らすケースが増えました。
「永代供養(※3)」とは、寺院や民間の管理者が、家族(祭祀継承者)に変わり、永代に渡り供養をする「サービス」です。
お墓の管理もしてくれますが、永代に渡り「供養」はするものの、契約期間が過ぎて連絡がなければ、そのご遺骨は合祀され供養されることもあります。
★ 霊園であれば日ごろの管理は管理者(民間施設や寺院)が担ってくれますし、無縁仏になる心配もありません。
・ 長男継承に越したことはありませんが、現代の民法に倣い、長男以外の家族や親族への継承まで、視野を広げることで、選択肢は広がります。
「長男継承」に拘るケースでの沖縄のお墓の継承問題であれば、「とりあえず」霊園へ改葬して永代供養を付加し、墓主は叔父や叔母とした上で、孫の成長を待つケースも多いです。
いかがでしたでしょうか、今日は全国的なお墓問題を参考にしながら、沖縄のお墓の継承問題の解決方法を、いくつか探ってみました。
沖縄は子どもの多い家庭が多いものの、昔のような育て方ではない現代では、子どもをたくさん産み、育てることも、経済的にも肉体的にも負担が大きいです。
そんななか、女系家族やDINKS(子どものいない家庭)など、さまざまな家族形態が当たり前にもなった現代では、「長男」「男子」が引き継ぐ沖縄のお墓の継承問題は、なかなか解決の糸口が見いだせない家庭が多いです。
ひと昔前には全国的にも沖縄と同じようなお墓の継承問題が多発し、新民法を軸にした、より緩やかな考え方へと落ち着いています。
本記事や本サイトを参考にしながら、ぜひ沖縄のお墓継承問題を解決して、無縁仏の危機を解消してみてはいかがでしょうか。
まとめ
沖縄のお墓継承問題と解決策
・昔は長男がお墓と共に一切の家督を継いだ
・現在はお墓を継いでも、財産は分配
・祭祀継承者はお墓管理の負担が増える
・話し合いでは継承者の負担に配慮する
・「長男継承」のしきたりが強い
・継承の負担を子や孫に被らせたくない
・永代供養を利用して、継承者枠を広げる
・長男継承に拘るなら、「一時的な」対処もアリ