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改葬は七夕やユンヂチに限る?判断したい信仰の真実

改葬は七夕やユンヂチに限る?判断したい信仰の真実
「改葬は七夕(タナバタ)に行うと良い」とは、沖縄に昔から伝わる信仰ですよね。「言い伝え」とも言えますが、現代でもこれを大切に守る沖縄の方々は多いです。

 

改葬を七夕(タナバタ)に行うのには、「日無し(ヒーナシ)」の考え方のためですが、この他にも旧暦で1年が13カ月になる「ユンヂチ」も、日無し(ヒーナシ)に当たります。

 

ただユンヂチは数年に一度しか来ないため、1年のなかでは改葬に七夕(タナバタ)を選ぶ沖縄の人々が多いです。…ただ忙しい現代、「なぜ、改葬が七夕でなければいけない?」と、少し不便に思う方も多いですよね。

 

そこで今日は、沖縄に昔から伝わる「改葬は七夕(タナバタ)に行う」信仰の由縁をお伝えします。ぜひ、判断の参考にしてください。

 



 

改葬は七夕やユンヂチに限る?
判断したい信仰の真実

 

故人の魂の「祟り」を恐れる沖縄の信仰


檀家制度のある本州とは違い、中国などアジア大陸から流れた「儒教」の影響も強い沖縄では、独自の御願文化が浸透してきましたよね。

 

そのためなのか本州の信仰とは違う部分も多く、お墓や位牌など、お供養に関わる沖縄の習わしの背景には、「祟り」を恐れるがゆえのものも、少なくありません。

 

【 沖縄の「死は穢れ(けがれ)」の考え方 】

 

★ …また死を「穢れ(けがれ)」と捉える感覚は、本州のものよりも強い傾向にあります。

 

・ 例えば、埋葬時に棺をお墓まで移動する時には、死の「穢れ」が天の目に触れぬよう、「天蓋(てんがい)」と呼ばれる黒傘を差して隠すなどの習わしです。

 

沖縄ではよく「ウグァンブスク(御願不足)」を心配しますが、これももともと、その昔の沖縄の人々にとっては、お供養(御願)の方法を間違えていたり、不足していることで、「祟り」を恐れる気持ちが強かったためです。

 

 

改葬に良い七夕(タナバタ)は、「日無し(ヒーナシ)」


ではなぜ、お墓の移動(改葬)に七夕(タナバタ)が良いのか…と言えば、沖縄では「日無し(ヒーナシ)だから。」と答えが返ってきますが、そもそも「日無し(ヒーナシ)」とは何か…、現代では分からない方も多いですよね。

 

「日無し(ヒーナシ)」は漢字そのまま、「その日がない」と言う意味合いです。

 

【 日無し(ヒーナシ)とは 】

 

★ 「改葬」とはお墓を移動することを差しますが、お墓のみならず、位牌の交換やお仏壇の清掃まで、お供養ものをイチミ(生身)がむやみにいじること、動かすことを良しとしない信仰がありました。

 

・ そこで、「ウティン(天)の神様の目が届かない日」、として「その『日』自体がない」日として、「日無し(ヒーナシ)」の考え方が産まれ、これが七夕(タナバタ)です。

 

…沖縄では改葬のみならず、七夕(タナバタ)と言えば、御先祖様へお盆が近づいてきたことを知らせるための、「お墓参り」の慣習がありますよね。

 

お墓参りでもお墓をキレイに掃除する…、つまりイチミ(生身)がいじりますから、日無し(ヒーナシ)がより良いことになります。

 

(本州と違い沖縄では、決められたお墓参りの日以外には、あまりむやみにお墓を訪れない方が良い、と信じられてきました。)

 

【 もうひとつの「日無し」、「ユンヂチ」とは 】

 

★ ちなみにもうひとつの「日無し(ヒーナシ)」とされる「ユンヂチ」は、漢字で「閏月」と書きます。

 

・ 旧暦で毎年1年12カ月であるところを、この年だけはどこかの月が重なって、13カ月となる年です。

 

本来は「閏月」となる重なった期間だけが「日無し(ヒーナシ)」となりますが、沖縄ではその年一年は「日無し(ヒーナシ)」とされ、日取りを気にせずお墓事が出来る年として、重宝されています。

 

 

本州に伝わる「閏月」のタブー


一方で本州では、旧暦で1年が13カ月となる「閏月」には、「お仏壇を新調すると良いことが起こらない」と言われてきました。

 

沖縄とは反対にも見えますが、この由来はその昔のとある藩主の命によるものだった…、と言う説があります。

 

【 閏月にお仏壇を新調しない、の由縁 】

 

★ 旧暦で暮らしてきた日本では、毎年12カ月だった1年が、閏月には13カ月として暮らすことになる一方、お給与は例年通り、12カ月分だった藩も多かったようです。

 

・ そのために、1年13カ月の閏月は家計が苦しくなります。そんななかで意外にも高いお仏壇を新調しなければならないとしたら…、より家計は圧迫します。

 

…そんな人々の暮らしぶりを考慮して、とある藩主が「閏月のある年には、お仏壇を新調してはならない」との命を出した、と言う説です。

 

 

 

いかがでしたでしょうか、今日は年々価値観が変化しつつある現代において、「改葬は七夕(タナバタ)・ユンヂチ(閏月)に行う」と言う昔ながらの信仰の由縁をお伝えしました。

 

信仰は出来るだけ残したい一方、現代の事情や暮らしのなかで従うことが難しい、厳しくなってきた習わしは数多くありますが、その由縁や理由を知ることで、現代の事情に合わせた判断がしやすくなりますよね。

 

そもそも「お仏壇やお墓の掃除」はもちろん、改葬も七夕の「日無し」に、神様から隠れて行わなけらばならない「悪行」なのか…、と考えると、その信仰自体への捉え方も、人によってそれぞれです。

 

「祟り」を気にしがちな沖縄の信仰ですが、もともと故人は家族であり、その魂ですので、その考え方も現代では、さまざまなものに変化しているのかもしれません。

 

まとめ

沖縄では改葬を何故、七夕に行うのか

・沖縄では「祟り」を恐れる風習があった
・死を「穢れ」とする意識が強かった
・七夕は神様の目が届かない「日無し」に当たる
・日無しに神様に隠れて改葬を行うため
・位牌交換やお仏壇、お墓の掃除も慎重だった
・反対に本州では閏月のお仏壇慎重は禁忌だった
・現代では価値観もさまざまになっている



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