【沖縄の御願】秋の彼岸は旧暦8月。沖縄の供え物と拝み方
沖縄でもお彼岸の習慣がありますが、お墓参りとして知られる本州の年中行事とは、習わしが違いますよね。沖縄ではお彼岸のない地域も多いです。
沖縄のお墓参り行事と言えば、十六日や清明祭(シーミー)、タナバタなどですので、沖縄ではお彼岸であっても、お墓参りに行く地域は少ないです。
その代わり、この時期を目安に「屋敷の御願」を行ったり、お仏壇にお供え物をしてきました。2019年度の秋の彼岸は、秋分の日の9月23日(月)を中心として、9月20日(金)(秋彼岸入)~26日(木)(秋彼岸明)!
そこで今日は、本州とは違う沖縄のお彼岸、そのお供え物や拝み方、基礎知識をお伝えします。
【沖縄の御願】秋の彼岸は旧暦8月。 沖縄の供え物と拝み方
本州と沖縄に通じる、お彼岸の意味合い
お彼岸は春分と秋分の日を境に前後三日間、合計七日間の時期を差しています。
そのため毎年決まった日にちではありません。仏教では「彼岸」とはあの世のことを差し、春分と秋分の日には太陽が真東から出て真西に沈むため、その昔から「あの世とこの世を結ぶ」特別な日とされてきました。
★ 太陽が真東から出て真西に沈むため、水平線と一直線に繋がりますよね…。そのために、この日が「最も彼岸と此岸が近づく日」と言われています。ちなみに「彼岸」とは「あの世」ですが、対をなして「此岸」は「この世」を差す言葉です。
・ あの世とこの世が最も近い「お彼岸」では、あの世へ旅立った人々とも繋がりやすい日とされるため、お墓参り(本州や一部沖縄)や、お仏壇への拝み(主に沖縄地域)で故人を偲び、話をします。
本州と沖縄、お彼岸の違い
ただ前項で少し触れたように、本州ではお墓参り=お彼岸であるのに対し、沖縄ではお彼岸にお墓参りを行う地域は少ないです。
沖縄県南部(糸満)にある(沖縄県最大の門中墓として全国的に有名な)幸地腹門中などでは、沖縄でもお彼岸にお墓参りをする習慣がありますが、多くの地域でお仏壇を通して供養をします。
★ 沖縄では「お墓とお仏壇は繋がっている」と言う考えがあるため、お墓参りをせずお仏壇へ拝むのです。また、沖縄には門中墓の風習が残っていますから、ひとつのお墓に入る故人が多いですよね。そのためにそれぞれがお墓参りをすると、お墓がごった返してしまいます。
・ ヒヌカンとお仏壇へウサギムン(お供え物)を供えた後、家族でウサンデー(※1)をしてから、「ウチカビ」を炊いてお金を御先祖様へ捧げます。
スーパーでも見るウチカビは、家長が5枚、他の家族は3枚を、専用の金属ボウル「カビバーチ」に焚くのが定番です。お供え物の内容も決まっているので、次の項でお伝えします。
(※1)沖縄では馴染み深い「ウサンデー」は、お仏壇へ供えたウサギムン(お供え物)を下げること(下げる=ウサンデー)を差します。「ウサンデーをする」などと言う時には、そのウサギムン(お供え物)を、集まった皆でいただくことも多いです。
沖縄のお彼岸、お供え物
沖縄のお彼岸では、お馴染みのウサンミ(御三味)と呼ばれる御馳走を用意してください。ただし、旧盆や旧正月のようにお重に詰めなくても問題はありません。
①ウサンミ … 豚の三枚肉の煮付けや魚の天ぷら、厚揚げやゴボウの煮付けなど、何品かを作りお皿に盛りつけて供えます。(「ウチャワキ(=お茶脇)」とも言います。)
②おもち … 法事ではNGですが、お彼岸では餡入りの白餅でも構いません。一皿に7個を盛り付けて、お仏壇のみお供えしてください。
③盛り菓子 … 沖縄定番のお供え菓子を準備、落雁やまんじゅうなどがあり、この時期にはセットでも販売されています。
④果物の盛り合わせ … りんごやバナナ、みかんが定番です。
…沖縄ではヒヌカンとお仏壇へお供え物をしますが、ヒヌカンへはウサンミを取り分けた「ウチャワキ(お茶脇)」のお皿のみで大丈夫です。
お仏壇へは全てをお供えしますが、ウサンミと白餅は膳に並べてお箸を添えて出してください。その上に後々焚くウチカビを乗せます。
お仏壇やヒヌカンへの拝み方
沖縄のお彼岸での拝み方は、基本的にはお盆などと同じです。最初にヒヌカン→お仏壇の順番で拝み、今日の日と感謝、今後の無病息災を祈願します。
「ウートゥートゥー、今日はお彼岸の日となりました。
いつも家族を見守っていただくお陰で、無事に今日の日を迎えております。ありがとうございます。
今後ともどうぞ、家族みなが健康で穏やかに過ごせますよう、どうぞお見守りください。」
…と唱えますが、お仏壇にのみ、「クワッウマガンチャー サカイハンジョウシミティ ウタビミスーリー」と唱える家もあります。最後に「ウートゥートゥー」で締めてください。
彼岸に入りより行う「屋敷の御願」
また、沖縄ではお彼岸の入りを目安に屋敷の御願を行います。ただし屋敷の御願の時期は地域によって夏と年末の二回だったり、春と秋のお彼岸、年末の三回行う地域もあるなど、さまざまです。
★ 日ごろは屋敷の神様の「お通し役」であるヒヌカンへのみ拝みますが、屋敷の御願ではトイレや四隅、門や中陣の神など、屋敷にいらっしゃる神々へ拝みます。
詳しくは
…でお伝えしています。こちらも参考にしてみてください。
「彼岸花」は、現代はNG
最後に、主に本州で行うお墓参りでは供え花を用意しますよね。上の写真の花は「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」…、またの名を「彼岸花」と言います。
そのためか、時々お彼岸に供えるお花と勘違いをする方もいるのですが、土葬(沖縄では風葬でした)の風習から火葬となった現代では、お墓参りの供え花に彼岸花を選ぶことは、基本的にはNGです。
…そもそもお花屋さんで彼岸花を見ることも滅多にありはしませんが、沖縄のようにお仏壇を通して故人と繋がる風習を持つ地域やお家でも、供え花に彼岸花は避けてください。
★ 確かに「彼岸花」はその昔、お墓や墓地周辺に多く植えられ、咲いていた花でした。お墓の周辺に咲く花だったことから、「彼岸花」と言われています。
・ けれどもそれは、土葬が一般的だった時代に、土に埋まった死体を目的としてネズミなどがお墓を荒らす事態を防ぐために、毒を持つ彼岸花が植えられたためです。
現代ではお墓参りの供え花としてNGとされる花々には、
…などがあります。 彼岸花は正に毒を持つ花なので、現代のお墓参りにはNGです。
…このように法事やお墓参りで供える花々には「マナー」が数多くありますが、少し前までは菊など、供え花の定番がマナーとして求められてきた一方、最近では多少華やかすぎたり、イメージと合わない花でも、故人が生前に好んでいた花々を優先して供える家族も増えました。
さすがに「彼岸花」は毒もあり「不吉な花」としても知られるために、供え花とするのは難しい花ではありますが、その他の「派手過ぎる」などの理由で避けられてきた花々でしたら、故人が好んでいたなど、時と場合によっては臨機応変に選んでも良いのかもしれません。
いかがでしたでしょうか、今日は沖縄でのお彼岸、お供え物や拝み方についてお伝えしました。本州にも沖縄にもお彼岸の風習はあるものの、故人を供養する意味合いなどは同じでも、供養の方法や拝み方は全く違います。
盛り菓子など準備が大変なようにも思えますが、沖縄ではお彼岸近くになるとスーパーなどでも販売されますし、御願行事や法事などに対応してくれるお菓子店も多いです。
故人への想いが届きやすいお彼岸時期、丁寧に拝みを捧げてみてはいかがでしょうか。
まとめ
沖縄のお彼岸の拝み方
・あの世とこの世が近くなるのがお彼岸 ・沖縄ではお墓参りに行かない家も多い ・ウサンミやおもち、果物などを供える ・御先祖様へお彼岸の日を伝える ・感謝を伝え、今後の無事を祈願する ・彼岸に入ると、屋敷の御願をする
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