屋敷の御願の行い方☆感謝を捧げる6つの手順
屋敷の御願は「ヤシチヌウグァン」と言い、地域によって時期や回数に違いはありながらも、今でも行う家庭が多い御願行事ですよね。
2月・8月の屋敷の御願もありますが、特に年末の旧暦12月24日には、日ごろは屋敷の神々様との連絡係を司ってくださっている、ヒヌカン(火の神)が天へ里帰りをする日です。
ヒヌカン(火の神)のお見送り前に、神々様へ一年の感謝の御願を行う地域が多いですよね。
そこで今日は旧暦12月24日、新暦2020年では1月18日(土)に行う、屋敷の御願をお伝えします。
屋敷の御願の行い方☆
感謝を捧げる6つの手順
屋敷の御願で廻る六ケ所の神様
屋敷の御願では、台所のヒヌカン(火の神)を通して拝んでいる屋敷の神々様、それぞれの場所へ行き御願を行います。地域によって違うものの、廻る順番も定められていることが多いです。
今回は、沖縄で最も多い御願の順番でお伝えします。
【 屋敷の御願、六ケ所の神々様 】
① ヒヌカン(火の神) … 台所
② お仏壇
③ ユンシヌカミ(四隅の神) … 屋敷の東西南北の角
④ ジョウヌカミ(門の神) … 門
⑤ フールヌカミ(トイレの神) … トイレ
⑥ ナカジンヌカミ(中陣の神) … 玄関と門の間
※ ②のお仏壇は、屋敷の御願で神様に数える地域と、数えない地域があります。
この屋敷の御願は昔ながらの沖縄の御願です。沖縄の昔の家は平屋で門と庭がある家でしたので、③のユンシヌカミ(四隅の神)は、庭の四隅で拝みます。
…となると…、マンションの場合にはこの六ケ所全てを廻ることは、物理的に無理ですよね。そんなマンションの御願では、扉を開けて、玄関口から扉に向かい、お供え物をして拝んでください。
屋敷の御願でのお供え物
沖縄で親しまれる御願道具「ビンシー」は、「家の実印」などと言われますが、実際には必ず必要ではありません。ただ、確かに屋外の御願では便利なので、ひとつ用意して置くと何かと役立ちます。
屋敷の御願でも、ジョウヌカミ(門の神)やユンシヌカミ(四隅の神)など、屋外の神様へ拝む時には、ビンシーを携えて廻るとスムーズです。
【 屋敷の御願のお供え物 】
① ヒヌカン(火の神)
・ お酒 … 一対の徳利の中央に盃を置く
・ お米 … 一対の花米(※1)の中央に洗い米(※2)
・ ウチャヌク … 三段に重ねた白餅を3セット
・ 果物の盛り合わせ … りんご・みかん・バナナなど
・ シルカビ(※3) … 1セット
※ ヒラウコー(平線香=沖縄線香)は、タヒラ半(二枚と半分=日本線香12本と3本)
② お仏壇
・ お酒 … 徳利一本に盃に注いだお酒
・ お米 … 花米(※1)
・ ウチャヌク … 三段に重ねた白餅を2セット
・ 果物の盛り合わせ … りんご・バナナ・みかんなど
※ ヒラウコー(平線香=沖縄線香)はタヒラ(二枚=日本線香12本)
③ その他、屋敷の神々
・ お酒 … 一対の徳利の中央に盃に注いだお酒
・ お米 … 一対の花米(※1)の中央に洗い米(※2)
・ ウチャヌク … 三段に重ねた白餅を2セット
・ 果物の盛り合わせ … りんご・バナナ・みかんなど
・ シルカビ(※3) … 1セット
…ウチャヌクは半紙を下に敷いて、供えてください。
(※1)の「花米」は、炊いていないお米粒です。「カラミハナ」などと呼ぶ方もいます。一方、(※2)の「洗い米」は「アライミハナ」などとも呼ばれ、七回水ですすいだお米を供えます。
この洗い米は、法要の時だけ用いるとする地域もあり(南部など)、この場合には「クバンチン」として三十五円を供えてください。
(※3)の「シルカビ」は、神様へ供える「お金」です。半紙を三枚重ねて縦半分に折り、四等分に千切ったものですので、「1セット」は三枚一組になっています。
屋敷の御願での拝み方
神職の方々であれば、それぞれの神様へ向けてのグイスもあるのですが…、「グイス」と言っても「クチムンナラーシ(言い回し)」に近いです。
言わば、「昔ながらの沖縄言葉の、神様へ捧げる丁寧語」と言ったところでしょうか。そのため、家庭の主婦が屋敷の御願を行うのであれば、内容は同じくして、自分の言葉で感謝と祈願をしても、問題はありません。
【 屋敷の御願での拝み方 】
☆ 「アリサーサー ウートゥートゥー、○○(神様のお名前)ガナシー」と唱えてから、お供え物の内容をお伝えします。
・ その後、神々様への日ごろのお見守りへの感謝を伝え、「ヤナカジ・シタナカジ(悪霊・悪疫)」を屋敷から払いのけて、果報(良い知らせ)のみがやってくるよう、祈願をしてください。
…最後は「ウートゥートゥー」や「ウートゥートゥーディービル」などで終えます。
家長が中心となりヒラウコー(平線香=沖縄線香)を拝し、同席した家族は手を合わせるだけで良いのですが、家族もヒラウコーを拝する風習がある地域では、一人ハンヒラ(半分=日本線香3本)が多いです。
いかがでしたでしょうか、今日は旧暦2月・8月・12月24日に行う屋敷の御願についてお伝えしました。
この屋敷の御願は地域によって1回、2回…、時期が違う地域もありますが、一般的に多くても年に3回のみの御願行事です。日ごろは、台所のヒヌカン(火の神)を通して、屋敷の神々に感謝をします。
今でこそ新暦の年末年始が沖縄で定着していますが、ひと昔前までは、旧暦の年末年始が大きな節目でした。
ぜひ、旧暦の流れを感じながら、旧暦12月24日(新暦2020年では1月18日)の屋敷の御願を行ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
屋敷の御願の行い方
・屋敷の御願では六ケ所の神様を廻る
・お酒、お米、果物、ウチャヌクを供える
・神様(お仏壇以外)はシルカビを供える
・ヒヌカンのみ二枚半、他は二枚のヒラウコーを拝す
・神様へはお供え物と日ごろの感謝を伝える
・続いて悪霊を払い、果報多く訪れるよう祈願する
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