ニンチスーコー(年忌焼香)☆墓前で唱える言葉とは
「ニンチスーコー」は「年忌焼香」と書く、本州で言うところの周忌法要です。沖縄のニンチスーコーは、お供え物や拝み方など、本州のものとは大きく違いますよね。
沖縄のニンチスーコーと言えば、重箱料理の御馳走「御三味(うさんみ)」、これをお仏壇にお供えし、墓前でも御三味から取り分けた「うちゃわき(お茶脇)」をお供えします。
このような独自の御願文化が見える沖縄のニンチスーコー、今では手を合わせた後に唱える「拝みの言葉」に戸惑う方も多いです。
そこで今日は、沖縄のニンチスーコーで仏前や墓前で家長が唱える、拝みの言葉をお伝えします。
ニンチスーコー(年忌焼香)☆
墓前で唱える言葉とは
ニンチスーコーの流れ
ニンチスーコー(年忌焼香=周忌法要)は、十三年忌までのワカスーコー(若焼香)と二十五年忌・三十三年忌のウフスーコー(大焼香)に分かれます。
十三年忌までのワカスーコーは供養の意味合いが強いので、お供え物も弔事に沿いますが、ウフスーコーになるとお祝い事(カリー)で揃えるお供え物になるのが特徴です。
その内、三十三年忌のウフスーコーは、多くの地域で「ウワリスーコー」と言われる最後のスーコー(焼香=法要)ですので、少し流れが変わります。
今回は三十三年忌ではない、他のニンチスーコーの流れをお伝えします。
【 ニンチスーコーの流れ 】
① ヒヌカンとお仏壇へ拝みます。
「本日の良き日に、○○(故人の氏名)の〇年忌を行います。これからお墓までお迎えにあがりますので、どうぞ無事にご案内できますように。」
…と、お伝えして拝んでからお墓参りに行ってください。
② お墓では、まずヒジャイヌガミ(左神=土地神様)へご挨拶をします。
「今日の良き日に、○○の〇年忌を行うために、お墓までお迎えに上がりました。どうぞ無事にご案内できますよう、お見守り下さい。」
…と今日お墓まで参った理由をお伝えしてください。
③ 続いて、お墓中央の扉の前(御先祖様)で、今日がニンチスーコーであることをお伝えし、ご案内をします。
④ 家に帰り、ニンチスーコーのお供え物を仏前に並べてください。(朝から用意をする家も多いです。)
⑤ 仏前で家長を中心に拝みます。お坊さんをお呼びしている場合には、ここでお坊さんの読経供養をお願いしてください。
⑥ お供え物をウサンデー(下げて家族でいただくこと)して、集まっていただいた焼香客の皆さまへ、準備しておいた仕出し弁当や仕出し料理を振舞います。
…以上がニンチスーコーの一連の流れです。ニンチスーコーでのお供え物は、別記事「沖縄ワカスーコー(若焼香)☆十三年忌までのお供え物」「沖縄ウフスーコー(大焼香)☆二十五年忌からのお供え物」をご参照ください。
また、ニンチスーコー(年忌焼香)自体の基礎知識は、「沖縄のニンチスーコー☆一連の流れと基礎知識」でお伝えしています。
ニンチスーコー、御先祖様へ唱える言葉
沖縄で御先祖様へ唱える言葉は、「ウグァンクトゥバ(御願言葉)」などと言います。
ちなみに拝みでの言葉なので、「グイス(祝詞)」とも言いますが、これはどちらかと言えば、ヒヌカンや御嶽など、神様への言葉の意味合いが強いです。
【 ニンチスーコー、御先祖様へのウグァンクトゥバ 】
☆「ウートゥートゥー ウヤフジガナシー、(あな尊き 御先祖様)
ちゅうぬ 良かる日、果報な日、〇〇(故人の氏名)ぬ〇〇(年忌)、
御願(うぐぁん)うとぃじち、うなかもちでぃーびる ○○(家長の氏名)、うなさきに○○(拝み人の氏名) お言葉(うくぅとぅば)ぬうやぎでぃーびる。
ちゅうぬニンチ事(ぐとぅ)ぬ、ウサギムンでぃーぶる 〇〇、〇〇、○○…(供えたお供え物をお伝えする)
うにげーうといじち、さびらは 御天(うてぃん)じぃ、通しみすーち、受け取いみすーち、
ふすくやぁ 御代金(みでぃじん)ち たりみすーち、げらい通しみすーち、かない 通しめすーち。
くぬしねいぬ うまむいむ、神とぅないみんすーち、御命の綱(ういぬちぬちな) いじぃよく まじゅんよく 御守い(うまむい)しょうちへ…、
くわっうまが(子孫代々)むたいえい 栄えぃちー、めしうるゆに 御守いじゅらさぁ、ウートゥートゥ。」
読んでいると分かるかと思いますが、今日がニンチスーコーであること、皆でお供え物をして拝んでいることをお伝えし、命を繋いで子孫をどうぞお見守りください、と拝んでいます。
ニンチスーコー、左の神様への言葉
以上が御先祖様、祖霊様へ唱えるウグァンクトゥバなのですが、墓前ではお墓の土地神様である、左の神(ヒジャイヌカミ)様への拝みも行いますよね。
コチラは、お墓のヒジャイヌカミ様への言葉です。
【 ニンチスーコー、左の神様へのウグァンクトゥバ 】
☆「ウートゥートゥー ヒジャイヌガミガナシー、(あな尊き 左の神様)
ちゅうぬ 良かる日、果報な日、〇〇(故人の氏名)ぬ〇〇(年忌)、
御願(うぐぁん)うとぃじち、うなかもちでぃーびる ○○(家長の氏名)、うなさきに○○(拝み人の氏名) お言葉(うくぅとぅば)ぬうやぎでぃーびる。
ちゅうぬニンチ事(ぐとぅ)ぬ、ウサギムンでぃーぶる 〇〇、〇〇、○○…(供えたお供え物をお伝えする) うにげーうといじち さびたん
ふすくやぁ 御代金(みでぃじん)ち たりみすーち、うにげーでぃーぶる ヒジャイヌウカミガナシー。
うさき(お酒)、うはなぐみ(御花米)、しち(七)しるあらん花、うびみじ(水)、まーすまつり ゆまつりぬ しゅうぬはな、ウチャヌク、うさぎてぃー うにげーさびら…。
御天(うてぃん)でぃ とぅしめ(通しめ)すーちー 御守り(うまむい)すーちー、ウートゥートゥ。」
ほとんどの文言が同じではあるのですが、ヒジャイヌカミ様は御先祖様ではなく神様なので、お供え物や祈願の内容が少しばかり変わります。
いかがでしたでしょうか、今日はニンチスーコーで拝む時に伝える言葉、「ウグァンクトゥバ(御願言葉)」をお伝えしました。
家や地域によって違いがありますし、今では同じ内容を現代の言葉で伝えるケースも多いですが、内容が揃っていれば、問題はないとされています。
今では沖縄のニンチスーコーでもお坊さんをお呼びして読経供養をする家が多いです。ですから、故人を案内するお墓参りは朝一番で行う家がほとんどではないでしょうか。
お坊さんがいらっしゃる前、朝やお墓参りから帰ってきてすぐなどに、御願を行う様子も見られるようになりました。
どうぞご家族が納得できるよう、ニンチスーコーを進めてください。
・沖縄のニンチスーコー☆十三年忌までのワカスーコー
・沖縄のニンチスーコー☆二十五年忌からのウフスーコー
・沖縄の三十三年忌☆最後のスーコー3つの特徴
・ニンチスーコー(年忌焼香)☆墓前で唱える言葉とは
※リンクが飛ばない記事は、アップ次第リンクしていきます。
まとめ
ニンチスーコーの拝みの言葉
・御先祖様と左の神様へは言葉が少し違う
・今日、焼香を行うことを報告する
・お供え物の内容を伝える
・(御先祖様)子孫の守護をお願いする
・(左の神様)天の神様へのお通しを祈願
・(左の神様)焼香の無事を祈願する
・お墓へ行って、故人を案内する
・帰宅後に焼香を行う