清明祭は、沖縄のお墓参り。迷った時に参考にしたい豆知識
清明祭(シーミー)は沖縄の人々には馴染み深い、一大お墓参り行事ですよね。沖縄が好きな観光客の方々にとっても知られる行事ではないでしょうか。けれどもいざ、自分が中心で行うとなると、何かと曖昧な部分に気付きます。
「だいたい春先に行っていたけれど、自分で日取りを決めてしまって良いのだろうか。」「故人が亡くなって喪は明けるけど、初清明祭(ハチシーミー)も行ってしまって良いのだろうか…。」などなど、いざ自分が決める立場になると、ふと迷う場面も出てきがちです。
そんな時、改めて清明祭(シーミー)の意味合いや基本が分かると、自分の決定にも安心できますよね。そこで今回は、改めて確認すると安心できる、清明祭(シーミー)の基礎知識をお伝えします。
清明祭は、沖縄のお墓参り。
迷った時に参考にしたい豆知識
清明祭(シーミー)の時期
清明祭はそもそも中国の風習が沖縄に流れ変化したものです。沖縄では旧正月やお盆など、旧暦で動くことが多いのですが、清明祭(シーミー)は「二十四節気」から来ていて、春分と穀雨と呼ばれる時期の中間、清明(せいめい)の節気に行われます。
【 清明祭(シーミー)の時期 】
★ 「二十四節気」と呼ばれる一年の季節の中でも、第五節気(五番目の節気)である「清明(シーミー・せいめい)」の時期の行事です。4番目の「春分」から、降水量が増える「穀雨」の間の時期を指すのが「清明」の節気となり、毎年少しずつ日は違います。
・ 旧暦では二月後半~三月前半(三月節)辺りが目安で、新暦になると四月~五月前半に位置し、日にちは前後しながらも「新暦四月五日頃~二十日頃」を目安とすると、準備しやすいです。
ちなみに今年、新暦2019年では4月5日(金曜日)が清明の始まりです。この日から、第六節気である「穀雨(こくう)」が始まる新暦2019年4月20日(土曜日)までが清明の節気であり、この時期が清明祭(シーミー)の時期となります。
「神ウシーミー」と「清明祭(シーミー)」
こちらも近年ではあまり知らない方も多いのですが、実は清明祭(シーミー)には、神御清明祭(カミウシーミー)と清明祭(シーミー)があります。この違いは簡単な言い方をすればお墓の違いです。
【 神御清明祭(カミウシーミー)と清明祭(シーミー) 】
★ 神御清明祭(カミウシーミー)では、その門中や家族にゆかりのある史跡や按司墓(古代の古いお墓)を拝み巡ります。また、現代は使われていないお墓を参る家も多いです。
・ 順番は先に神御清明祭(カミウシーミー)→清明祭(シーミー)なので、時期が訪れたらすぐに、まず神御清明祭(カミウシーミー)を行ってください。その後に現代使われているお墓に参る清明祭(シーミー)です。
ちなみに単純に「御清明祭(ウシーミー)」の言葉も良く聞きますが、これは首里地区など一部の地域での清明祭(シーミー)の呼び名となり、清明祭(シーミー)と意味合いは同じです。(首里は琉球王朝のお膝元の地域ですので、沖縄言葉の敬語が入っています。)
清明祭(シーミー)はお祝い
清明祭(シーミー)ではお墓参り行事なので勘違いをしやすいのですが、本来清明祭(シーミー)は墓前で行うお祝い行事とされてきました。ご先祖様とともにお祝いをするのが目的です。そのため、墓前にお供えするジューバク(重箱)料理である御三味(ウサンミ)も、赤かまぼこなどを用いた慶事用を準備してください。
【 清明祭(シーミー)はお祝い行事 】
★ 「祝い事」ですからお正月と同じ扱いです。そのため、例えば身内で不幸があり喪に服している家庭では、本来は清明祭(シーミー)も行いません。結婚式に行かなかったり、お正月に年賀状を出さないのと同じ考え方です。
・ また一度控えていた清明祭(シーミー)から、喪が明けて再開し初めて迎える清明祭(シーミー)は、「初清明祭(ハチシーミー)」と呼ばれてきました。
ただし、初清明祭(シーミー)のタイミングは一年忌(イヌイ)後、と言うケースもあれば、三年忌(サンニンチ)後、と言う地域も見受けられ、さまざまな見解があります。
準備するウサンミ(重箱料理)
清明祭(シーミー)は年間のお墓行事のなかでも比較的大きく、沖縄では重要な位置づけですよね。そのため、墓前にお供えするジューバク(重箱料理)の御三味(ウサンミ)も、お客様をおもてなしできる量の4重「チュクン(両方)」を用いてください。
【 清明祭(シーミー)に準備する御三味(ウサンミ) 】
★ きれいに四方に分けて盛り付けられる御三味(ウサンミ)は、おかずの重箱が2重、おもちの重箱が2重からなるジューバク(重箱)料理です。何度も言うように清明祭(シーミー)はお祝い事なので、慶事用のジューバク(重箱料理)を供えてください。
① おもちはアンコやよもぎ入り、黒糖やきな粉をまぶしたもちなどの色つきを、9個から15個などの「奇数個」を詰め込んできれいに並べて(9個であれば3列×3段、15個なら3列×5段などです。)ください。
② おかずも同じように、きれいに四方にならべて1重につき、9品~15品。ごぼうの煮付けや昆布、かまぼこは赤い背のものを準備し、その他、カステラや魚の天ぷらなどが並びます。
ちなみにウサギムン(お供え物)の御三味(ウサンミ)については別記事「清明祭のお供え物、ウサンミとは。自分で用意する基礎知識」でも詳しくお伝えしていますので、コチラも参考にしてください。
ただ、御三時(ウサンミ)の御馳走は大抵の家庭で、手慣れた高齢の女性(おばぁ)を中心に支持を受け、家のお嫁さんや女性が集まって皆で料理をするので、初めてでも安心です。
【 ジューバク(重箱)料理の御三味(ウサンミ)に関する記事 】
・清明祭のお供え物、ウサンミとは。自分で用意する基礎知識
・御三味(ウサンミ)は沖縄の行事料理☆お供えの作法とは
・御三味(ウサンミ)は沖縄の行事料理☆自分で作るレシピ1
・御三味(ウサンミ)は沖縄の行事料理☆自分で作るレシピ2
・【沖縄の法事】供物の重箱料理ウサンミ、沖縄の現代事情
清明祭(シーミー)で供養をする場合
本来はお墓参り行事なので、お坊さんを呼んで供養をする必要はありませんが、何かと物騒なことがあった時、先ほどお伝えしたような「初清明祭8カミウシーミー)」など、時には清明祭(シーミー)で読経をお願いするケースも見受けられます。
そんな時、多くの方が迷うのがお礼を包む封筒ではないでしょうか。
【 清明祭(シーミー)で読経を依頼 】
★ お墓参り(供養)をしながらも清明祭(シーミー)自体はお祝い事ですよね。そのため、「不祝儀袋か、祝儀袋に包むのか…。」でさまざまな意見が分かれることがあるのです。
・ 実際には家庭による価値観で決めることも多いものですが、正しくは「白い封筒や紙」に包むのが正解です。表書きは黒墨で「お布施」としてください。
個人で頼む場合にも、基本的には他の法要と同じく3万円~5万円前後を相場として、決定すると安心です。
いかがでしたでしょうか、清明祭(シーミー)は沖縄のお墓行事や法要のなかでも、最も慣れ親しみ、全国的にも知る人の多い御願行事ですよね。一部ではこの清明祭(シーミー)のウサンデー(お墓参り後に、お供え物の重箱料理を参加者で分けて食べること。)の光景自体が観光にもなっているほどです。
この清明祭(シーミー)、大きな家のようなお墓を持つ、沖縄ならではの風習でしたが、最近では霊園や納骨堂など、お墓もコンパクトになりました。それでも隣同士、お互いに法要時間は譲り合いながら、清明祭(シーミー)は続いています。
もしも新しいコンパクトなお墓での清明祭(シーミー)で、不安を感じているのなら、事前に墓前以外の広いスペースを確認して、予約をしておくなど、それなりの準備をしておけば大丈夫。施設のHPなどで、混雑状況が確認できることも。
お墓事情はさまざまに変わりますが、昔ながらの風習、ぜひ世代が変わっても続けてみてはいかがでしょうか。
まとめ
清明祭(シーミー)を行う基礎知識
・旧暦の「清明」の節気に行い、新暦では四月~五月頃
・神ウシーミーは古いお墓へ参ること
・清明祭(シーミー)はお墓参りでも、お祝い事
・ウサンミ(お重料理)は、慶事用を準備する
・読経をお願いするなら、お布施は白い封筒