【2026年版】沖縄の旧正月のお供え物と飾り物|元旦から進める御願の流れ

沖縄の旧正月では、元旦の朝からお供え物や飾り物を整え、ヒヌカン(火の神)やお仏壇、床の間へ新年の御願(ウグァン)を行います。
若水(ワカミジ)を用意し、ウカリーや炭の昆布巻き、ウチャヌクなどを供える独特の習わしは、初めての方には少し難しく感じられるかもしれません。
2026年版として本記事では、沖縄の旧正月に欠かせないお供え物と飾り物を中心に、元旦から進める御願の流れを整理しました。
地域や家ごとの違いにも配慮しながら、「何を・どこへ・どの順で」整えればよいのかを分かりやすく解説します。
目次
沖縄の旧正月のお供え物は「元旦の朝」から始まる

◇沖縄の旧正月では、元旦の朝からお供え物や飾り物を整え、ヒヌカン(火の神)やお仏壇、床の間へ御願(ウグァン)を行います。
そのため、「旧正月のお供え物は元旦の朝にすべて準備しなければならないの?」と不安に感じる方も多いかもしれません。
結論から言うと、元旦の朝に行うのは仕上げであり、すべてを一から始める必要はありません。沖縄の旧正月では、前日までに準備を整え、元旦の朝は落ち着いて御願を行う家庭が一般的です。
旧正月の元旦に行う御願の考え方
◇沖縄の旧正月における元旦は、新しい一年の始まりを神様やご先祖へ伝える日です。
…元旦の朝には、若水(ワカミジ)を用意し、お供え物を整えたうえで、ヒヌカンやお仏壇へ新年の挨拶を行います。
「無事に正月を迎えられたことへの感謝」
「これから始まる一年を見守ってほしいというお願い」
…を伝えるためのものです。
そのため、元旦の朝は慌ただしく準備をする時間ではなく、気持ちを整えて手を合わせる時間として位置づけられてきました。
朝一番にすべてを完璧に整えなければならない、という考え方ではありません。
前日(トゥシヌユール)までに準備しておくもの
沖縄の旧正月では、前日のトゥシヌユール(年の夜・大晦日)までに、お供え物や飾り物の準備を済ませておく家庭が多く見られます。
これは、新しい年を迎える前に家の内外を整え、元旦は御願に集中するためです。
・ウカリー(赤・黄・白の色紙)
・炭の昆布巻きや橙(みかん)
・ウチャヌク(白餅)
・若木や生け花
…など、旧正月に用いる飾り物やお供え物を前日までに揃えておきましょう。
元旦の朝に行うのは、若水を用意し、整えておいたお供え物を所定の場所へ供え、御願を行うことが中心です。
すべてを朝早くから準備し直す必要はなく、前日までの準備と元旦の御願を分けて考えることで、落ち着いて旧正月を迎えることができます。
・【2026年版】沖縄の旧暦大晦日「トゥシヌユール」お供え物や過ごし方を解説
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沖縄の旧正月に欠かせない飾り物

◇沖縄の旧正月では、お供え物と「飾り物」を整えます。
これらの飾り物は、見た目を華やかにするためのものではなく、年の変わり目を区切り、神様やご先祖を迎えるためのしつらえとして大切にされてきました。
家庭や地域によって多少の違いはありますが、旧正月に欠かせない代表的な飾り物がいくつかあります。
ウカリー(赤・黄・白の色紙)の意味
◇ウカリーは、赤・黄・白の三色を重ねた色紙です。
…沖縄の旧正月や御願行事で広く用いられてきました。
旧正月では、ヒヌカンやお仏壇、床の間などに供えるお供え物の下に敷くのが一般的です。
・祝い
・清め
・繁栄
…お供え物を直接置くのではなく、ウカリーを敷くことで場を清め、神聖な場所を整える役割を果たします。
色の重ね方や呼び名は地域によって異なる場合もありますが、旧正月では「お供え物の土台として使う」という考え方が共通しています。
炭の昆布巻き・橙(みかん)を供える理由
◇沖縄の旧正月の飾り物には、炭の昆布巻きと橙(だいだい)やみかんが特徴的です。
…これらはウカリーの上に並べて供えられることが多く、縁起物として受け継がれてきました。
●炭…火を守るヒヌカンとも関わりが深い。
[意味]
・家が途切れず続く
・暮らしが安定する
●昆布を巻く
[意味]
・昆布(こぶ)=喜ぶ(よろこぶ)
…という語呂を重ねた。(お祝いの意味)
●橙(だいだい)
[意味]
・橙(だいだい)=「代々(続く)」
だた、沖縄では橙よりも入手しやすいみかんで代用される家庭も多く見られます。
必ず橙でなければならないという決まりはなく、家の事情に合わせて準備して問題ありません。
若木・生け花を飾る場所の考え方
◇旧正月には、若木や生け花を飾ることも大切な準備のひとつです。
…門や玄関先には若木を飾り、家の内と外を区切る目印とする考え方が伝えられてきました。
家の中では、床の間がある場合は床の間に、生け花や若木を飾るのが一般的です。
●若木…新しい年の生命力や成長を願って供える、若い枝葉
[意味]
・新しい生命の象徴
・芽吹きの象徴
(新年の始まりにふさわしい飾り物とされています。)
近年では床の間のない住宅も多いため、リビングなど家族が集まる清潔な場所に飾っても問題ありません。
形式にこだわりすぎず、「新しい年を迎える場を整える」という気持ちを大切にすることが、沖縄の旧正月らしい考え方です。
ヒヌカン(火の神)への旧正月のお供え物

沖縄の旧正月では、正月飾りを整えたうえで、ヒヌカン(火の神)へ新年のあいさつを行います。
ヒヌカンは日々の暮らしを見守る神様であり、日頃のお供えを基本に、旧正月ならではの整え方を加えてきました。
ヒヌカンへの日頃のウサギムン(基本のお供え)
◇ヒヌカンへのお供えは、旧正月であっても日頃と同じ「ウサギムン」が基本です。
毎日の暮らしを見守ってもらっていることへの感謝を込め、次のものを整えます。
●若水(ワカミジ)
…朝一番に汲んだ水を供えます。
●ウミキ(御神酒)
…酒を供えます。
●マース(盛り塩)
…小皿などに盛り塩として供えます。
●神葉(チャーギなど)
…花活けに生け、ヒヌカンのそばに供えます。
これらはヒヌカンを敬い、家の暮らしを守ってもらうための基本のお供えです。
ヒヌカンには箸を添えず、食事として供える形は取りません。
・【沖縄の御願】ヒヌカン(仏壇)への毎月の拝み方
ヒヌカンへの旧正月のお飾り
◇旧正月には、日頃のウサギムンに加えて、正月を迎えるためのお飾りを整えます。
このお飾りは、ヒヌカンへの直接の供えというよりも、新しい年を迎える場を整えるためのしつらえとして用意されます。
●ウカリー
…赤・黄・白の三枚重ねの色紙×3組
●そのウカリーの上に
・ウチャヌク…白餅の三段重ね×3個
・昆布で巻いた炭を三個
・橙(だいだい。みかんでも可)×3個
※供え方は上のイラストをご参照ください。
いずれも「3」を基本とし、祝いと継続、家の安定を願う意味が込められています。
ヒヌカンへ供える赤ウブク(赤飯)3膳
◇旧正月の朝には、日頃のウサギムンに加えて、赤ウブク(赤飯)を三膳供えます。
赤ウブクは、新しい一年を迎えたことをヒヌカンへ伝えるための、旧正月のお供え物です。
3膳供えるのは、家族の暮らしがこれからも滞りなく続くように、という願いが込められているとされてきました。
・赤飯
・黒米や古米を混ぜて赤く炊いたご飯
・赤い食紅を混ぜたご飯
…などなど、家ごとのやり方で用意して問題ありません。
なお、赤ウブクも食事として供えるものではないため、箸は添えません。
旧正月の節目を整えるためのお供えとして供えます。
ヒヌカンへ供えるお線香
◇ヒヌカンへ供えるお線香の本数はジュウゴフンウコー(十五本御香)です。
ヒヌカンへ拝む際は、香炉(ウコール)に線香を供えて手を合わせます。
線香は香炉に横向きに置き、安定した状態で火を灯します。
燃焼時間が長いため、火の扱いには十分注意し、最後まで見守るようにしましょう。
●ジュウゴフンウコー(十五本御香)
・沖縄線香(ヒラウコー)…タヒラ半(2枚半)
・日本線香…15本
・簡易版…日本線香5本
ここで押さえておきたいのは、ヒヌカンにはハレの膳を供えないという点です。
重箱料理や祝い膳は、お仏壇や床の間に供えるものであり、ヒヌカンへのお供えとは役割が異なります。
旧正月のお仏壇へのお供え物と拝み方

お仏壇へのお供えは、ご先祖へ新しい年のあいさつをし、これから一年の加護を願うためのものです。
ヒヌカンと同様に、正月飾り・日頃のお供え・ハレの膳を整理して整えることで、混乱なく拝むことができます。
お仏壇の正月飾り(ウカリー・炭・橙)
◇旧正月のお仏壇には、まず正月飾りを整えます。
ウカリーはお飾りだけではなく、ハレの膳(御膳)のお供え物も置くので、大きいものを敷きます。旧正月近くなるとスーパーなどで丁度良い大きさのウカリーセットが販売されているでしょう。
基本となるのは、次のしつらえです。
●ウカリー
…赤・黄・白の三枚重ねの色紙×2組
●ウカリーの上に
・昆布で巻いた炭
・橙(だいだい)…みかんでも可
ウカリーは祝いと清めを表し、炭は火の守りと家の安定を、橙は代々続く繁栄を意味するとされてきました。
花活けには、菊の花や南天など、縁起の良い生花を用います。
・【沖縄の昔話】旧正月に敷く三色の色紙、ウカリーの物語
お仏壇へのウサギムン(基本のお供え物)
◇正月飾りを整えたら、お仏壇に日頃のお供えを供えます。
旧正月のお仏壇への基本のお供えは、次のとおりです。
●ウミキ(御神酒)
…酒を1杯供えます。
●ウチャトゥ
…若水を沸かして入れたお茶を、お酒の両脇に2杯供えます。
●供え花
…位牌の両脇の花活けに、供え花を生けます。
花活けには縁起の良い南天の他、菊の花なども良いでしょう。
これらは、ご先祖へ新年のあいさつをするための基本のお供え物です。
・沖縄のお仏壇(トートーメー)、迎え入れる5つの基礎知識
旧正月のお仏壇に供える「ハレの膳」
◇旧正月のお仏壇では、ハレの膳を供えます。
…これは、ご先祖に正月の膳を供え、一年の無事を願うためのものです。
「ハレの膳」とは縁起の良い、めでたい日にいただく御膳料理です。
そのため、クーブイリチーなイナムドゥチなど、沖縄で昔からお祝い料理として出されてきたおかずを供える家庭が多いです。
・赤飯
・汁物(イナムドゥチなど)
・おかず(クーブイリチーなど)
・副菜(箸休めとなるおかず)
基本的には4品を御膳に配膳して供えます。お箸も添えてください。
これらのハレの膳は、ウカリーの上に乗せます。
家や地域によって内容は多少異なりますが、「正月の膳を整えて供える」ことが大切とされてきました。
お仏壇での線香の本数と拝み方
◇旧正月のお仏壇へのお線香の本数は、ジュウニフンウコー(十二本御香)です。
お仏壇で拝む際は、香炉に線香を供えて手を合わせます。
線香の種類による目安は、次のとおりです。
●ジュウ二フンウコー(十二本御香)
・沖縄線香(ヒラウコー)…タヒラ(2枚)
・日本線香…12本
・簡易版…日本線香4本
線香を供えた後、家族そろって新年のあいさつと、一年の健康・安全を願って拝みます。
床の間(トゥクヌマ)へのお供え物と飾り方

◇床の間は、家の中で神様やご先祖を迎えるための場です。
…昔ながらの沖縄の家では、客間である一番座(縁側から見て右側)に設けられてきました。ちなみに、仏壇は中央(縁側の正面)に位置する二番座に置くのが一般的です。
沖縄の旧正月では、ヒヌカン・お仏壇とは別に、床の間(トゥクヌマ)へも御願(ウグァン)を行います。
旧正月の床の間へのお供えは、家の一年の始まりを整える意味を持ち、形よりも「区切りとして整えること」が大切にされています。
三合御花(サンゴーミハナ)とは
◇三合御花(サンゴーミハナ)とは、旧正月に床の間へ供える三合分のお米のことを指します。
基本的には旧正月明けに行う御願(ウグァン)「タティウグァン(立て御願)」の際に、供えるお供え物です。
・ザル
・皿
・升
…などに米を入れて供える家が多いです。
ただし、器や見せ方は地域や家ごとに異なり、なかにはウカリーの上に供える家庭もあります。家庭それぞれの供え方で問題はありません。
大切なのは「三合」という量に込められた意味です。
新しい年の始まりにあたり、「この家に一年分の実りがありますように」という願いを込めて供えられてきました。
・【沖縄の御願】屋外の拝みで用いる「ビンシー」とは
酒・塩・若水・お茶脇の供え方
床の間には「トゥクシン(床神)・トゥクヌカミ(床の神)」と呼ばれる神様が鎮座されています。家庭によっては床の間に観音様や鶴亀、関帝王などが描かれた掛け軸が祀られているでしょう。
床の間には、三合御花とあわせて、次のものを供えます。
・ウミキ(酒)
・マース(塩)
・ワカミジ(若水)
・ウチャワキ(お茶脇)…おかず
※供え方は上記イラストをご参照ください。
若水は、朝一番に汲んだ水を用い、お茶はその若水を沸かして入れたものを供えます。
これらは、日々の生活を清め、新しい年を穏やかに迎えるための基本的なお供えです。
床の間がない家の場合の考え方
現代の住宅では、床の間がない家も少なくありません。
その場合は、無理に形式を整える必要はありません。
・棚の一角
・仏壇のそば
・清潔に整えた台の上
…など、家の中で落ち着いて手を合わせられる場所に供えれば問題ありません。
旧正月の御願は、「場所を厳密に守ること」よりも、「家として一年の始まりを整えること」が本質です。
旧正月の御願を終えたあとの「ウビナディ」

◇ウビナディとは、若水(朝一番に汲んだ水)を用いて行う、沖縄に伝わる清めの作法です。
旧正月の御願を終えたあとに行うことで、新しい一年を健やかに過ごすための区切りとされてきました。
ウビナディは、特別な儀式というよりも、
日常の延長線上にある「整え」の行いとして受け継がれています。
ウビナディの意味と由来
◇ウビナディは、若水を器に入れ、指を浸して額に三回つけることで行います。
この所作には、身を清め、健康や無事を願う意味が込められています。
「ウビナディ」という言葉の捉え方や呼び方には幅があります。
家庭によっては、正月元旦の行いを指す場合もあれば、赤ちゃんや結婚祝いなど、人生の節目で行われる作法を指すこともあるでしょう。
旧正月に行うウビナディは、一年の始まりにあたり、心身を整えるためのものと考えられてきました。
子ども・大人への行い方
◇若水を入れた器に中指を浸し、額に三回、やさしくつけます。
…その際、特別な言葉を唱える必要はなく、「健康で過ごせますように」と心の中で願うだけでも問題ありません。
…子どもに行う場合も、大人と同じ方法で構いません。
赤ちゃんにウビナディを行う場合は、大人が変わりにつけてあげます。
無理に形式を教え込むのではなく、「一年の始まりに体を清める行い」であることを、自然に伝えることが大切です。
家庭によっては、ウビナディを行わない場合もありますが、それも間違いではありません。旧正月の御願と同様、家のやり方を尊重することが、何より重視されてきました。
まとめ|沖縄の旧正月は無理なく整えることが大切

沖縄の旧正月は、ヒヌカン・お仏壇・床の間、それぞれに意味の異なる御願を行い、一年の始まりを整える行事です。
お供え物や飾り方、線香の本数、拝み方には、地域差や家ごとの違いがあります。
床の間がない家、簡略化して行う家、すべてが間違いではありません。
沖縄の御願は、暮らしの中で無理なく続けられる形を尊重する文化です。
「新しい年を迎えられたことへの感謝」と「これからの一年を穏やかに過ごしたいという願い」を意識しながら進めることで、心のこもった旧正月となるでしょう。
・【2026年版】沖縄の旧正月とは?若水・お飾り・ヒヌカン・仏壇へのお供えと拝み方を解説
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