2026年版|沖縄の旧正月に供える膳とウサンデーが美味しいレシピ

沖縄の旧正月は、ハレの膳でもある「豚正月」とも呼ばれる豚肉料理がありますよね。
そして供えたあと、ウサンデーとして下げ、数日に分けて少しずついただく――
その前提で、料理が組み立てられてきました。
本記事では、沖縄の旧正月に供える膳を軸に、お供えを下げる「ウサンデー」後も美味しく食べられる、ハレの料理レシピを紹介します。
ドゥルワカシー・イナムドゥチ・ミミガー・チムマチなど、豚正月と呼ばれてきた沖縄ならではの料理を、家庭で作りやすい形でまとめました。
「供えるための料理」
「食べ続けるための料理」
…その両方を意識した旧正月の膳を、実例とともに見ていきます。
目次
沖縄の旧正月に供える「ハレの膳」とは

沖縄の旧正月では、「ハレの膳」を神様やご先祖様に供えてきました。
一年の始まりに、神様やご先祖へ感謝と報告をするための膳です。
…その後、家族とともにいただき、お供え物を下げる「ウサンデー」までが一連の流れです。
かつての沖縄では大晦日に飼っていた豚を一頭さばいて、塩甕などに着けて保存しながら(スーチカー)、ご馳走である豚肉料理をいただく風習がありました。
そのため、豚肉料理を中心に、汁物や和え物などを組み合わせ、供えたあとも数日に分けて食べられる料理が、今も選ばれています。
とは言え、旧正月の膳は豚肉料理だけではありません。
ターンム(田芋)を使った料理など、祝いの席に添えられてきた料理もあります。
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沖縄の旧正月|ハレの膳・基本の組み立て

◇沖縄の旧正月では、お祝い料理を供えます。
沖縄でお祝い料理に使われてきた食材には、豚肉や昆布のほか、ターンム(田芋)などの芋類があります。
一方で、ターンム(田芋)は法事には用いられない食材とされ、旧正月や祝い事に使われる、特別な意味を持つ食材です。
・ソーキ汁
・チーイリチー(豚肉の血で炒めた料理)
・クーブイリチー(昆布の炒め物)
・ターンムディンガク(ターンム田楽)
・イナムドゥチ
・中身汁
…などなど。
本州と同じく、昆布は「喜ぶ(よろこぶ)」の語呂が語源のおめでたい食材ですよね。
大根の浅漬けなども、末広がりの扇型に切ったり、赤ビートなどの食紅で色を付け、紅白などカラフルに仕上げる家庭も多いです。
・【2026年版】正月にやること完全ガイド|飾り・おせち・料理・行事・由来・めでたいもの一覧
ご飯・汁物・おかず膳の考え方
◇旧正月「ハレの膳」は、4つの碗・皿から成ります。
…基本的には4つの碗・皿を膳に配膳して供えますが、なかには沢庵や酢の物といった「箸休め」料理を供える5つの碗で構成されるハレの膳もあるでしょう。
・主菜
・副菜
・汁椀
・飯碗
…この四つを軸に、和え物や煮物を添える形です。
供えたあとにウサンデーとしていただくことを前提に、時間が経っても味が落ちにくい料理、作り置きができる料理が選ばれてきました。
その結果、煮物や汁物、下味を含ませた料理が、旧正月の膳に多く並ぶようになっています。
※旧正月の膳に並ぶ料理は、家庭や地域によって違いがあります。
豚料理の種類や数、汁物の内容、和え物の有無など、「これが正解」という形はひとつではありません。
豚料理が入る理由(豚正月の背景)
◇沖縄で旧正月のハレの膳で欠かせないのが、豚料理です。
沖縄では、旧正月を「豚正月」と呼ぶほど、豚肉が正月料理の中心にありました。
煮物や汁物、塩漬けなどにして、正月明けまで少しずついただいていきます。
その名残から、現在でも旧正月の膳には、ラフテーやソーキ、ミミガー、チムマチなど、何らかの豚肉料理を一品入れる家庭が多く見られます。
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ハレの膳に供える定番料理① ドゥルワカシー

◇旧正月のハレの膳に欠かせない料理のひとつが、ドゥルワカシーです。
見た目は地味ですが、手間をかけて作られる料理で、「きちんと正月を迎える」という意味合いを持つ一品として受け継がれてきました。
ターンム(田芋)を使う料理であることからも、ドゥルワカシーは祝いの場ならではの料理とされています。
ドゥルワカシーとは
◇ドゥルワカシーは、すりつぶしたターンム(田芋)をベースに、だしや具材を加えて練り上げる、沖縄の伝統的な煮物料理です。
独特のとろみと素朴な味わいが特徴で、豚肉料理が多く並ぶ旧正月の膳の中では、口当たりをやわらげる役割も果たしてきました。
作るのに手間がかかることから、日常的な料理というよりも、旧正月や年祝いといった特別な日に用意される料理です。
ドゥルワカシーの材料
ドゥルワカシーは、田芋(ターンム)を使った沖縄のハレの日料理で、見た目以上に手間がかかる分、「きちんと用意した料理」として旧正月の膳に欠かせない存在です。
練り物のような仕上がりになりますが、材料自体は特別なものばかりではありません。
家庭で手に入りやすい食材を組み合わせて作られてきました。
目安量(4人分程度)は、次のとおりです。
<具材>
・ターンム(田芋)……約200g
・豚肉(だし用・三枚肉や薄切り)……約70g
・干ししいたけ……2~3枚
・かまぼこ(カステラかまぼこなど)……約50g
〈調味・だし〉
・かつおだし……約400ml
・酒……小さじ1~2
・醤油……少々(小さじ1前後)
・塩……少々(味を見て調整)
すべてを厳密にそろえる必要はありません。
田芋の量や具材の配分は、家族の人数や好みに合わせて調整して構いません。
ドゥルワカシーの作り方
ドゥルワカシーは工程が多く見えますが、一つひとつの作業は難しいものではありません。下準備を丁寧に行うことが、仕上がりを左右します。
旧正月前日に仕込む家庭も多く、時間に余裕のあるタイミングで作るのがおすすめです。
・ターンムは皮をむき、下茹でまたは蒸してやわらかくする
・やわらかくなったら、熱いうちにすりつぶす
・豚肉は下茹でしてから細かく刻む
・干ししいたけは戻して細かく刻む
(戻し汁は取っておく)
・かまぼこも細かい角切りにする
この下準備を丁寧に行うことで、口当たりがなめらかになり、練りやすくなります。
・鍋にかつおだしを入れ、豚肉としいたけを加えて火にかける
・アクを取りながら火を通し、具材に軽く下味を含ませる
③仕上げ
・すりつぶしたターンムを加え、弱火で練るように混ぜながら煮詰める
・全体がなじんだら、酒と醤油を少量加えて味を整える
・最後に塩で微調整する
●木べらで練った跡が残るくらいの固さになれば完成!
手間はかかりますが、その分「ハレの日にふさわしい一品」として、旧正月の膳にしっかり存在感を持つ料理になります。
供える際は、他の料理と同様にまずヒヌカンやお仏壇へ供え、その後ウサンデーとして家族でいただきましょう。
・【2026年版】沖縄の旧正月のお供え物と飾り物|元旦から進める御願の流れ
ハレの膳に供える定番料理② 中身汁

◇中身汁(なかみじる)は、沖縄の旧正月や年祝いなど、ハレの日に欠かせない汁物のひとつです。
…「中身」とは、豚の大腸・小腸・胃などの内臓を指し、豚を余すところなくいただく沖縄の食文化を象徴する料理でもあります。
こってりした煮物や炒め物の合間にいただける一椀として、膳全体のバランスを整える役割も担ってきました。
中身汁とはどんな料理か
◇中身汁は、丁寧に下処理した豚の内臓を、だしで煮て仕上げる澄んだ汁物です。
…強い味付けはせず、内臓そのものの旨みと、だしの香りを活かすのが基本とされています。
・豚を一頭さばいた際の内臓を使う
・数日間にわたって供え、ウサンデーとしていただく
…といった背景もあり、保存性と食べやすさを兼ね備えた料理として受け継がれてきました。
中身汁の材料
中身汁は下処理に手間はかかりますが、材料そのものは比較的シンプルです。
内臓の種類や分量は家庭ごとに異なり、「これでなければならない」という決まりはありません。
<具材>
・下処理済みの豚中身(大腸・小腸・胃など)……400g
・干ししいたけ……2枚
・糸こんにゃく(下ゆで済み)……100g
<調味料・だし>
・かつおだし……約600ml
(※干ししいたけの戻し汁を含めて調整)
・塩……小さじ1/2前後
・しょうゆ……小さじ1〜2
・しょうが(すりおろし)……少量
すべてを正確にそろえる必要はありません。
内臓の量に合わせて、だしや調味料を加減しながら作るのが、昔ながらのやり方です。
中身汁の作り方
◇中身汁で最も大切なのは、下処理と煮方です。
時間に余裕のある日に、落ち着いて作るのが向いています。
下処理を丁寧にすることで、内臓特有の匂いが出にくくなります。
・豚中身は、たっぷりの湯で数回下茹で
※その都度水洗い中身の臭みを取る
(この工程を省かず行うことで、澄んだ汁に仕上がります。)
・干ししいたけは水で戻し、薄切りにする
(戻し汁は取っておく)
②煮る
・鍋にかつおだしと、しいたけの戻し汁を加えて火にかける
・豚中身・しいたけ・糸こんにゃくを入れ、弱めの中火で煮る
・アクが出たら取り除き、10〜15分ほど火を通す
③味付け
・塩としょうゆで味を整え、仕上げにしょうがを加える
・濃くしすぎず、だしの旨みが感じられる程度がおすすめ!
器に盛り付け、まずヒヌカンやお仏壇へ供え、家族でいただきます。
あっさりとした味わいの中身汁は、豚料理が多く並ぶ「豚正月」の膳に、欠かせない一椀です。
ウサンデーも美味しい豚料理③ ミミガー

◇旧正月のハレの膳では、主菜となる豚肉料理に加えて、箸休めや副菜としてミミガーが用意されることがあります。
コリコリとした食感が特徴のミミガーは、油分の多い料理が並ぶ旧正月の膳の中で、口をさっぱりさせる役割を持つ一品です。
供えたあとも食べやすく、ウサンデーとして家族で分けやすいことから、今も旧正月料理の一角として親しまれています。
旧正月の副菜としてのミミガー
ミミガーは豚の耳を使った料理で、沖縄では日常料理としても知られていますが、旧正月には副菜・和え物枠として膳に加えられることが多い料理です。
派手な料理ではありませんが、「豚を余すところなく使う」という沖縄の食文化を感じられる一品でもあります。
ミミガーの材料
ミミガーは、下処理さえ済んでいれば調理が簡単で、前日までに仕込んでおける点も、旧正月やウサンデー向きの料理です。
さっぱりとした味わいで、豚料理が多くなりがちな膳の中では、口直しや副菜として重宝されてきました。
分量は目安です。
食べる人数や他の料理とのバランスに合わせて調整してください。
〈具材〉
・ミミガー(下処理済み)……200g
・きゅうり……………………1本
〈調味・だし〉
・酢……………………………大さじ3
・砂糖…………………………大さじ1〜1.5
・塩……………………………ひとつまみ
・しょうゆ……………………小さじ1/2
※家庭によっては、
・白すりごま(少量)
・島唐辛子(ごく少量)
・おろししょうが
…を加えることもあります。
酢のきき具合や甘さは好みが分かれるため、最初から入れすぎず、和えながら調整するのがポイントです。
ミミガーの作り方
ミミガーは、調理工程自体は難しくありません。
食感と後味を整えるために、下処理と味なじませを丁寧に行うことが大切です。
・ミミガーは細切り
・きゅうりも長さをそろえて細切り
下処理済みのミミガーであっても、さっと熱湯を回しかけるか、短時間湯通しすると、臭みが出にくく、食感も整います。
・ボウルに酢・砂糖・塩・しょうゆを入れて混ぜる
・ミミガーときゅうりを加えて全体を和える
・味を見ながら、酸味や甘みが立ちすぎないように調整します。
③なじませる
・冷蔵庫で20〜30分ほど置き、味をなじませたら完成です。
時間を置くことで味が落ち着き、ウサンデーとしていただく際も食べやすくなります。
盛り付ける直前に軽く混ぜ直すと、見た目も整います。
意味を持つ豚料理④ スーチカー(塩豚)

◇スーチカーは、豚肉を塩漬けにして保存し、必要な分だけ茹でていただく沖縄の伝統的な豚料理です。
…旧正月のように、数日にわたって料理を供え、ウサンデーとしていただく行事では、とても理にかなった料理として受け継がれてきました。
かつては、旧暦大晦日に豚を一頭さばき、正月のご馳走として供えながら、傷まないよう塩漬けにして少しずつ食べ進めていく文化がありました。
現在では、網脂や内臓を使う料理が難しくなった一方で、豚肉と塩だけで作れるスーチカーは、現代の家庭でも取り入れやすい旧正月料理のひとつとなっています。
スーチカーの材料
スーチカーは、工程はシンプルですが、塩の量と漬け込み時間が仕上がりを左右します。
まずは基本となる分量を目安にしてください。
・豚バラ肉(ブロック)……500g
・粗塩……豚肉の重量の5〜8%(25〜40g)
…これだけで作れます。
豚肉は脂身と赤身のバランスがよいバラ肉が向いていますが、好みによって肩ロースなどを使っても構いません。
塩の量は、保存期間や好みによって調整してください。
長く保存したい場合はやや多め、早めに食べきる場合は控えめでも問題ありません。
スーチカーの作り方
◇スーチカーは、下ごしらえと時間が味を作る料理です。
…一度仕込めば、旧正月の数日間を通して使えるため、前もって準備しておくと安心です。
・豚肉の表面の水分を拭き取る
・全体に粗塩をまんべんなくすり込む
・ラップや保存袋に包み、冷蔵庫で2〜3日ほど寝かせる
(この間に水分が出て、肉が締まり、保存性が高まります。)
②塩抜き・下茹で
・食べる分だけ豚肉を取り出す
・表面の余分な塩を軽く洗い流す
・鍋にたっぷりの水を入れる
・豚肉を入れて火にかける
・沸騰したらアクを取る
・弱めの中火で30〜40分ほど茹でる
(途中で味を見て、塩気が強い場合は一度湯を替えて調整してください。)
③切って仕上げる
・火を止めて粗熱を取る
・食べやすい厚さに切る
(そのままでも、軽く焼いて香ばしさを加えても美味しくいただけます。)
旧正月では、器に盛ってヒヌカンやお仏壇へ供え、その後ウサンデーとして家族で分け合うのが一般的です。
時間が経っても味が落ちにくく、「供える」「下げる」「いただく」を無理なく続けられる点が、スーチカーが正月料理として重宝されてきた理由といえるでしょう。
ハレの膳とウサンデーを美味しく続けるために

◇沖縄の旧正月料理は、当日だけで食べきるものではありません。
ハレの膳として供え、その後ウサンデーとして家族でいただくことを前提に、数日にわたって食べ続けられる料理が選ばれてきました。
…旧正月の膳に並ぶ料理には、煮込み料理や和え物、下味を含ませた豚肉料理など、時間が経っても味が落ちにくいものが多くあります。
ミミガーやチムマチ、イナムドゥチなども、前日に仕込んでおける料理として重宝されてきました。
正月当日は「作る日」ではなく、供え、迎え、分かち合う日とされてきたためです。
…ウサンデーとして下げた料理は、そのまま食べるだけでなく、少し手を加えていただくこともあります。
煮物を刻んで和え物にしたり、汁物を温め直して具材を足したりと、無理のない形で食べ直す工夫が、各家庭で行われてきました。
…旧正月料理は「全部そろえること」よりも、供え、いただく流れを大切にすることが本質です。
作りすぎない、疲れすぎない。
家庭の人数や暮らしに合わせて量を調整することも、旧正月を続けていくための大切な知恵といえるでしょう。
まとめ|沖縄の旧正月に供える膳と料理の考え方

沖縄の旧正月に供える膳は、単なる正月料理ではなく、神様やご先祖へ報告し、家族で分かち合うための料理です。
料理はまず供えるために整えられ、その後、ウサンデーとして家族でいただきます。
この「供える → 下げる → いただく」という流れこそが、旧正月料理の基本です。
…一頭の豚を余すことなく使い、煮物や和え物、汁物として形を変えながらいただく――そこに、沖縄が「豚正月」と呼ばれてきた理由があります。
形にこだわりすぎず、意味を大切にしながら、今の暮らしに合った形で続けること。
それが、沖縄の旧正月に供える膳と料理の、変わらない考え方です。
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