沖縄の旧暦9月の行事☆「神拝み」とティラヌムメー
沖縄の旧暦9月は、旧暦7月のお盆や旧暦8月の十五夜が終わり、みなほっと「ひと息…」しているところですよね。
けれども沖縄の旧暦9月は、昔ながらの拝みを捧げる沖縄の家庭では、旧暦行事のなかでも大切な月かもしれません。
…と言うのも、沖縄では旧暦9月は「正五九月(しょうごくがつ)」と言われ、「忌み月」とされるために、厄払いの拝みに廻るためです。
…とは言っても、現代の沖縄では旧暦9月の拝みと言われても、ピンときませんよね。
そこで今日は、沖縄の旧暦9月に行う拝みや行事を、旧暦カレンダーと共にお伝えします。
沖縄の旧暦9月の行事☆
「神拝み」とティラヌムメー
沖縄の旧暦9月、年中行事
沖縄では旧暦9月が忙しいと言っても、主たる「神拝み(カミウガミ)」や「寺参り(ティラヌムメー)」に関しては、「○○日」と言った定まった日程はありません。
神拝みにしてもティラヌムメーにしても、一所のみを拝む訳でもなく、複数の拝所を廻りますから、沖縄ではおおまかに旧暦9月時期に廻る家がほとんどです。
【 沖縄の旧暦9月☆年中行事 】
① 旧暦9月1日(2019年9月29日・日曜日) … ヒヌカン・チィタチの御願
② 旧暦9月7日(2019年10月5日・土曜日) … カジマヤーユーエー(風車祝)
③ 旧暦9月9日(2019年10月7日・月曜日) … チクザキ(菊酒)
④ 旧暦9月前半時期 … 子育て祈願のティラヌムメー(寺参り)
⑤ 旧暦9月13日(2019年10月11日・金曜日) … ジューサンヤ(十三夜)
⑥ 旧暦9月15日(2019年10月13日・日曜日) … ヒヌカン・ジュウグニチの御願
⑦ 旧暦9月18日(2019年10月16日・水曜日) … ジューハチヤ(十八夜)
⑧ 旧暦9月後半時期 … 神拝み(カミウガミ)
…以上です。
昔の沖縄では旧暦9月前半時期に、子育て祈願でもある「ティラヌムメー(寺参り)」、後半時期に「東廻い(あがりうまい)」などで知られる、神拝み(カミウガミ)が、門中や家単位で行われてきました。
一方、ジューサンヤ(十三夜)の拝みやジューハチヤ(十八夜)の拝みは全ての家庭で行うものではなく、床の間に関帝公(かんていこう=十三夜)や、観音様(=十八夜)を祀る家庭で、「正五九月」のそれぞれの日に行われます。
カジマヤーユーエー
沖縄の旧暦行事としてだけではなく、全国的にも広く知られるようになった「カジマヤーユーエー」は、漢字で書くと「風車祝い」です。
これは沖縄に伝わる、生まれてから12年毎に訪れる「厄年」、「トゥシビー」の考え方から来ていますが、97歳もの高齢になると、もはや「厄年」ではなく、厄を逃れて長く生きた、「長寿」の祝いへと意味合いが変わります。
元服としてその昔には「成人」扱いをされた13歳の「13祝い」から始まり、13歳・25歳・37歳・49歳・61歳・73歳・85歳・97歳…、が、沖縄の厄年「トゥシビー」です。
この内沖縄では、97歳を含む61歳以上でお祝いをします。特に97歳のカジマヤーユーエーは、集落をも巻き込む盛大なお祝いが多いです。
【 沖縄の旧暦9月7日☆カジマヤーユーエー 】
★ この日、カジマヤーを迎える家族がいる家では、9升7合のお米の上に、9本の風車を飾り、多くの風車を用意してお祝いに駆けつけてくれた人々へ配ります。
・ カジマヤーを祝う集落では、豪華に飾りつけをしたトラックや車で、集落中を練り歩く催しもよく見られますよね。これが全国的に有名になりました。
トゥシビーは本来、旧正月明けから初めて訪れる干支日に、家族が拝みを捧げ厄払いをするものです。
ただ、カジマヤーだけは特別な長寿の祝いとして扱われ、沖縄では97歳に掛けた旧暦9月7日(2019年度は10月5日・土曜日)にお祝いをします。
…でお伝えしていますので、こちらも参考にしてください。
チクザキ(菊酒)とティラヌムメー
続く旧暦9月9日(2019年度は10月7日・月曜日)は「チクザキ(菊酒)」と呼ばれる健康祈願の拝み日です。
またこの時期を前後に、特に子どもの健康祈願として、地域やご縁の深い拝所へ廻る「ティラヌムメー(寺参り)」が行われます。
その昔は集落単位で、その年に生まれた赤子を連れて拝む、集落行事の役割もありましたが、今も集落行事として残る地域はごく僅かで、家族単位での行事になりました。
【 沖縄の旧暦9月9日☆チクザキ 】
★ チクザキ(菊酒)では、菊の葉を3枚浮かべたお酒をヒヌカンとお仏壇にお供えし、日ごろのお見守りを感謝すると共に、今年一年の健康祈願をします。
・ 沖縄の他の旧暦行事と同じように、チクザキでもウサンデー(お供え物を下げて)、共食をしますので、この日はお酒を酌み交わす家庭も多いです。
…一方、子ども達はお酒は飲むことができませんから、「ウビナディー(水撫で)」として、中指につけたお酒を、おでこに「ちょん・ちょん・ちょん」と3回付けてください。
ティラヌムメーは、特にその年に赤子が生まれた家、子どもがいる家で拝所に出向き、紅白まんじゅうや果物などを供えて拝みます。
でも詳しくお伝えしていますので、ぜひコチラもご参照ください♪
ジューサンヤ(十三夜)とジューハチヤ(十八夜)
前項でも触れたように、沖縄の旧暦行事でもジューサンヤ(十三夜)やジューハチヤ(十八夜)は、一部の家庭で拝まれてきました。
【 沖縄の旧暦9月☆ジューサンヤ(十三夜) 】
① ジューサンヤ(十三夜)は床の間に関帝公を祀った家々で、主に沖縄は久米地域に多いとされています。
… また、商売を司る神様ともされるために、自営業を営む方々も拝む方が多く見受け、ヒヌカンやお仏壇に拝むだけではなく、久米にある関帝廟へ参拝する方も多いです。
ジューサンヤ(十三夜)や関帝公については、下記記事でも詳しくお伝えしていますので、コチラもぜひ、併せてお読みください♪
※ちょっと面白い昔話も味わい深いです(*^_^*)
【 沖縄の旧暦9月☆ジューハチヤ(十八夜) 】
② ジューハチヤ(十八夜)では、床の間に観音様を祀る家々で行われます。
… 観音様は沖縄では家族を司る神様であり、病弱な子どもがいる家庭では多く拝まれてきました。また、家族の平和や団欒を祈願する対象です。
ジューハチヤ(十八夜)については「観音巡り」などの巡拝もあり、数多くの拝所があるために、下記の記事で詳しくお伝えしてきました。ご参考にしてください。
・ 「ジューハチヤ(十八夜)☆観音様への御願の仕方」
・ 「観音様へ子どもの健康を祈願☆観音堂での拝み方」
・ 「観音様は子どもの守護神☆観音巡り8つの拝所」
・ 「沖縄の観音堂巡り☆子どもの健康を祈願する観音堂」
また、神拝み(カミウガミ)についても詳しくは別記事「カミウガミ(神拝み)☆東廻い(あがりうまい)とは」でお伝えします。
沖縄では旧暦7月のお盆に始まり、旧暦8月のジューグヤー(十五夜)にお彼岸と忙しい日々が続きます。
さらに沖縄の旧暦9月には、神様への赤子のお披露目(ティラヌムメー)などなどが控えていますから、一年を通して拝みの日々でした。
ただ一方で、拝みながらウサギムン(お供え物)をウサンデー(下げて)して、家族や親族みなでいただくことができますから、子どもにとっては「ご馳走にありつける!」として、なかなか楽しくもあったようです。
ですから次に来る沖縄の旧暦10月は、あまり御願行事がないのですが、反対に「アキハティージューグヮッチ(飽き飽きする十月)」なんて言葉もあります。
お供え物は昔ながらの決まりごとに沿えばまず安心ですが、現代に併せた食べ物でも問題ありません。ぜひ、家族で楽しみながら、御願行事を進めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
沖縄の旧暦9月の年中行事
・旧暦9月1日(2019年9月29日/日)チィタチの御願
・旧暦9月7日(2019年10月5日/土)カジマヤー
・旧暦9月9日(2019年10月7日/月)チクザキ
・旧暦9月前半時期、ティラヌムメー(寺参り)
・旧暦9月13日(2019年10月11日/金)ジューサンヤ
・旧暦9月15日(2019年10月13日/日)ジュウグニチの御願
・旧暦9月18日(2019年10月16日/水)ジューハチヤ
・旧暦9月後半時期、神拝み(カミウガミ)
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