老後資金をせっかく貯めたのに…。子どもに捧げた体験談
老後資金は働き盛りの時代にコツコツと貯めてきた蓄えの他、退職金などもありますよね。ただ退職金はまとめて支払われることが多いため、もらうとなんだか気が大きくなってしまう方が少なくありません。
けれども人生100年時代はすでに到来しています。自分達の老後資金としてはもちろん、自分達の親の介護問題が老後に訪れるかもしれませんし、自分自身も、働き続けたくても、思うように体が動かない事態も考えられるのです。
そう考えれば、長い残りの生活費だけではなく、老後だからこそ訪れるさまざまな「まさか」に備えるためのお金が退職金なのですが、目の前にあると、ついつい、子どもや孫に何かしてあげたくなりますよね。
ただ老後資金をしっかりと守らないと、もしも自分達が要介護状態になった時、困ってしまうのは、子どもや孫です。そこで今回は、せっかく蓄えた老後資金を、子ども・孫に使ってしまった体験談を元に、解決策や対策をお伝えします。
老後資金をせっかく貯めたのに…。
子どもに捧げた体験談
夫は会社役員だけど…
B子さんは60歳でずっと専業主婦をしてきました。現在は年金暮らしですが、旦那様は現役時代は会社役員までなり、一般的な平均家庭よりも収入は高く、家族ともども何不自由ない暮らしでした。
しかも旦那様は現在63歳ですが、定年退職後の再雇用で年収は下がったものの、現役で働き続けています。
子どもは全員で3名、上二人が男の子で下が一人女の子です。これだけ見ていくと、現役時代から充分に老後資金を蓄えていけそうな家庭なのですが…。
【 老後資金よりも先に、教育費 】
★ けれども現役時代から子どもの教育費が最優先になり、老後の蓄えまでできません。塾や私学の学校の費用、長期の休みにはキャンプや留学プログラムなども希望があれば行かせてあげていました。
・ B子さん夫婦は独身時代を満喫し、遅くして結婚・出産したので、長男は現在30歳、次男は28歳、末っ子の長女は26歳です。
長男は大学卒業後にアメリカ留学をし帰国して就職したものの退職、現在就職活動をしています。次男も大学を卒業後、就職して結婚、末っ子の長女も結婚をして、現在B子さんの近所に居を構えています。
長男の生活費は親、次男と末っ子も…
長男は現在30歳ですが、アメリカ留学から帰国してから実家暮らしを続けており、現在は就職活動中なので生活費は主に親が出していました。
多くの親が思うように、「成人した子どもにそんなに出さなくても…。」と思いながらも、やはり毎日一緒に住んでいると、困った時にはついつい生活費を援助してしまう…、と言う暮らしが続いていたのです。
【 老後資金より先に、子どもの援助 】
★ さらに長男の家庭は毎月の赤字家計…、月末になると相談の電話が入り援助を続けるとともに、孫の習い事も払っていました。
・ 娘も近所に住んでいるため夕食時には家に訪れ、自家用車も利用、ガソリン代の他、孫のためのオムツなどは自然とお金を出す暮らしになっていたのです。
さらに子ども達に掛けていた保険はそのまま、老後資金を削っても払い続けたり、進学時にはランドセルや勉強机を買い与え、お祝いを贈るなど、何事も老後資金よりも子ども優先・孫優先になってしまいました。
改めて…、家計簿を付け始める
そんな暮らしを続けて5年、旦那様の退職金と貯蓄で5年前までは2500万円の老後資金がありましたが、気づけば1000万円を切る状況になってしまったのです。
「このままでは老後資金が足らず、結局子ども達に迷惑を掛けてしまう…。」と、家計簿を細かく付けるようにしました。
【 老後資金を優先にする生活へ… 】
★ 数か月の家計簿を付けた後、子ども達にそれぞれその家計簿と通帳を見せることにしました。「毎月の出費で赤字がこれだけあって、老後資金はこれしかない。」と、現状を隠さず見せたところ、子ども達はとても驚います。
・ 子どもの頃から「教育費優先」で子育てを頑張り、専業主婦だった母、父親もそれなりの役職に就き、平均よりも収入は高い家庭だったからです。
子ども達は、「自分達に援助をしても老後資金は充分にある。」と勘違いをしていました。そしてだんだんと親に援助を求めなくなりました。
それでも心配しましたが、子ども達はだんだんと経済的にも精神的にも自立して、子ども達自身がより充実した暮らしに変わっていきました。
いかがでしたでしょうか、今回は老後資金があっと言う間になくなっていくケースのひとつとして、子どもや孫へ老後資金が削られていく事例をお伝えしました。
子どもや孫への資金は毎月の援助であったり、日々の負担だったりするので、「これくらいなら…。」と出していると、数年後になって、「気づいたら老後資金がなくなっていた!」なんて事態になる夫婦が多い傾向にあります。
今回の事例のように、退職金も併せて2000万円・3000万円と余裕があり、悠々自適な老後をスタートした夫婦も多く、1000万円を切ってから事態が大変なことに気づき、初めて相談に訪れる方が多いのも特徴です。
「愛する子どもが少しでも幸せに…。」と言うのも親心ですが、親だからこそ、時にはタフラブも役立つことがあります。意外にも子どもは柔軟性が高く、強くしなやかに生きていきますので、シニアになったら素直に開示して、現状を伝えることも大切なのかもしれません。
まとめ
子どもへの援助で老後が不安になった体験談
・現役世代から子どもの教育費が最優先
・現役時代は暮らしにも余裕があった
・長男とは同居、留学後に帰国後就職活動中
・次男と長女には毎月の生活援助
・5年間で2500万円の老後資金が1000万円に
・貯金と家計簿を子どもに開示する
・子どもは驚き、だんだんと自立した