沖縄の葬儀、出棺後の悪霊祓い。「ムヌウーイ」の進め方
沖縄の自宅で行う葬儀では「ムヌウーイ」と呼ばれる、悪霊祓いの儀礼がありますよね。ご遺体が眠っていた部屋で、出棺後に行うものですが、これは沖縄独自の慣習で全国的なものではありません。
ただ、今は沖縄でも葬儀社に依頼するため、ムヌウーイを行わない家も多いです。…とは言え、昔からの悪霊祓いの慣習であれば、行っておくと安心できますよね。
そこで今日は、沖縄の葬儀で、家族がムヌウーイを進める手順をお伝えします。家族が行う儀礼ですので、ぜひ参考にしてください。
沖縄の葬儀、出棺後の悪霊祓い。
「ムヌウーイ」の進め方
沖縄の葬儀で「ムヌウーイ」を行う理由
沖縄では故人が亡くなると、ムヌウーイだけではなく、お通夜・葬儀・納骨式を通して、さまざまな悪霊祓いの儀礼があります。
本州でも葬儀に参列して家に帰ると、玄関で塩を振り掛けますが、それでも沖縄ほど多くはありません。これには沖縄の人々の「死」に対する考え方が影響しています。
【 沖縄の葬儀、ムヌウーイを行う理由 】
★ 沖縄では人の「死」は「穢れ」です。そのため、天の神様に死者を見せぬよう、黒傘を差して隠したりします。
・ ですから「穢れ」ある死者のご遺体には、悪霊や悪しきものが近寄って来ると信じられてきました。
そのため、ご遺体があった場所では故人以外の悪霊や無縁仏、悪しきもの達が残らぬよう、サンなどの悪霊祓いの呪具を遺体の近くに置くなどするのです。
沖縄の葬儀でムヌウーイに必要なもの
沖縄の葬儀では、ムヌウーイは出棺後に行います。
【 沖縄の葬儀、ムヌウーイの準備 】
★必要なものは以下の三点のみ…
・サン … ススキの葉を端っこが輪になるように結び、桑の葉を結び目に差したものです。強力な悪霊祓い効果があるとされています。
・塩水 … かつては海の「潮水」とする家もありましたが、家にある塩を水に溶けば問題ありません。
・箒(ほうき) … 箒で故人の遺体があった部屋をはき、悪霊や悪しきものを追い出してください。
沖縄の葬儀、ムヌウーイの手順
確かに沖縄では「死」を「穢れ」としてきましたが、沖縄の葬儀で行うムヌウーイは、故人に対して行っている訳ではありません。
この「死の穢れ」を沖縄では「死に不浄(シニフジョー)」と言い、亡くなった者は悪霊を引き寄せたり、悪しきものが憑きやすいとされているためです。
【 沖縄の葬儀、ムヌウーイの手順 】
①棺の出棺を終えたら、箒で部屋をくまなくはきます。
②サンを床に軽くたたきながら、「ワッサビナサヤ ムルハララッチ クミスーリー」と唱えてください。
③塩水のボウルを部屋に持ってきて、指に浸けて「デコピン」をするようにピンピンとはじきながら、部屋中に撒きます。
このムヌウーイで唱えたグイスは、「悪霊や悪しきものを、全て祓ってください。」を意味します。
葬儀後、帰宅時のお祓い
全国的には玄関先で塩を掛けるのみですが、沖縄では少し慣習が違います。玄関先には水と塩、サンを置いてください。
【 沖縄の葬儀、帰宅時のお祓い 】
★ 火葬場や葬儀から帰宅したら、玄関先にある水(ボウルなどに水を注いで置いておく。)で手を洗い、塩を掛けます。
・ サンは肩あたりを軽くポンポンと叩けば、お祓いも終了です。
いかがでしたでしょうか、今日は沖縄の葬儀で行う「ムヌウーイ」の進め方をお伝えしました。葬儀社は全国的な会社も多いので、ムヌウーイに配慮しないケースもあるかもしれません。
ですから、特に少人数で行う沖縄の葬儀では、出棺後のムヌウーイの時間を設けてもらうよう、打ち合わせをしておくと安心です。
また、沖縄の葬儀ではムヌウーイの他にも「ヌジファ」がありますが、これは故人の魂をその場から移動するために行うもので、ムヌウーイとは目的が違います。
「死に不浄」の考え方から来る慣習は他にもあります。納骨後の帰り道は行きとは違う道で帰ってください。
まとめ
出棺後に行う、沖縄の「ムヌウーイ」
・沖縄では死を穢れとしている(死に不浄)
・塩水、箒、サンを準備する
・サンはススキと桑の葉を結んだもの
・まず、箒で出棺後の部屋をはく
・続いてサンで床をポンポンとたたく
・最後に塩水をはじいて床に撒く
・儀礼はグイスを唱えながら行う
・葬儀後、玄関では手を洗い塩を掛ける