お彼岸とは?後々の世代まで伝えたい豆知識
お彼岸は年に二回、春分の日と秋分の日の前後に、お墓参りをする日本の行事ですよね。その意味合いや由来、細やかな手順などは忘れられつつある現代でも、この時期にコンビニやスーパーに立ち寄ると、おはぎやぼたもちが並んでいます。
そんな日本人の暮らしに自然と寄り添う、お彼岸の風習、せっかくお供えをしたり、お墓参りをするのなら、その意味合いを理解して、故人やご先祖様を拝みたいですよね。もしもお子さまがいるのなら、後々まで言い伝えたいですよね。
そこで今回は、改めて知りたいその由来や物語など、お彼岸にまつわるいくつかの豆知識をお伝えします。
お彼岸とは?
後々の世代まで伝えたい豆知識
お彼岸の始まりとされる物語
お経のひとつである盂蘭盆経(うらぼんきょう)には、お彼岸の由来となる物語があります。盂蘭盆経(うらぼんきょう)は、正式なお経ではないとも一説で言われていますが、今でもある親孝行のお話が言い伝えられています。
【 お彼岸の始まりの物語 】
■ 御釈迦様の弟子にあたる目蓮が、あの世へ旅立った母を神通力で見てみると、母親は飢餓に餓え、苦しんでいました。母親はこの世にいた頃に、他人へ物を惜しんだために、餓鬼道に落ちていました。
目蓮は疑問に思います。「あの優しく愛溢れる母が、なぜ餓鬼道に落ちたのか。」と。そこで目蓮が御釈迦様に尋ねたところ、御釈迦様はこう答えました。
「あなたの母親は、我が子可愛さに他人の子どもや、他の人々への物を惜しんだからです。」
その後、目蓮は御釈迦様の教えに倣い、7月15日に修行を終えた修行僧や、多くの人々に食べ物、飲み物を施しました。その徳により自らの母親を、餓鬼道から極楽へ導きました。
春分の日と秋分の日がお彼岸の理由
お彼岸は一年のうちで春分の日と秋分の日を中心に二回あります。春分の日を境に前後3日間の合計7日間、秋分もまた同じように7日間がお彼岸です。ではなぜ、この期間にお墓参りに行くのでしょうか。
【 お彼岸が春分・秋分である理由 】
■ 仏教であの世である「彼岸」は西方にあるとされています。春分の日と秋分の日は、どちらも真東から朝日が上がり、真西に沈む日ですよね。そのため、春分の日と秋分の日は、一年で最も「彼岸」、つまりあの世に近い日と考えられて来たからです。
仏教と神教から伝わる、お彼岸の由来
日本では昔ながらの風習として広がっているお彼岸ですが、実は日本独特の行事であることは、あまり知られていません。確かに「彼岸」は仏教用語であり、お寺では「彼岸会」と呼ばれる説法の会がありますが、一説では神教から由来するともされています。
【 お彼岸の由来とは 】
■ 神教では古来から万物に神々がいるとされ、特に太陽神を崇めてきました。そして前述したように、春分の日、秋分の日は、太陽が真東から上がり、真西に沈みます。
■ 一方仏教では、前述した仏教の西方浄土(西方に極楽浄土がある)の考え方が由来です。
また、農耕社会であった日本では、種蒔きの頃の春、収穫時期の秋、それぞれに神々に祈った風習が、お彼岸に繋がった、と言う一説もあります。
お彼岸に供える、ぼたもちとおはぎ
お盆には果物やお菓子など、さまざまなお供え物が供えられます。一方でお彼岸のお供え物と言えば、ぼたもちやおはぎであることは、現在ではあまり知らない方々も多くなりました。
【 春分の日にぼたもち、秋分の日におはぎ 】
■ ぼたもちもおはぎも、どちらも炊いたもち米に、あんこを包んで作ります。その違いは、ぼたもちはこしあん、おはぎはつぶあんで包むことです。
・ これは昔、収穫時期に作られた秋のおはぎでは、採れ立てで小豆の皮が柔らかく、そのままあんこにできたことから始まります。
一方、ぼたもちは春時期に作られますので、収穫から日が経った小豆の皮が固く、食べられないためにこしあんで作っていました。
お彼岸に供える花
故人に供える供花は、通夜や告別式など亡くなって間もない時期ですので、目安として三回忌くらいまでは、白い花を中心に選ぶようにしてください。けれどもその時期を過ぎれば、実は「決まった花」を供えなければならない訳ではありません。
ただ、秋分の日のお彼岸時期には彼岸花を供える、と言う方々もいますが、これはちょっと注意をしてください。
…と言うのも、一方で彼岸花には毒があるため、避ける人々も多いからです。もともと土葬をしていた頃は、彼岸花の毒で、モグラなどから埋葬した遺体を守っていたために、彼岸花を良しとしていました。
【 お彼岸に選びたい花 】
■ とは言えお彼岸やお盆時期には、供花としてアザミや白などの彼岸花、そして薔薇が良く売れています。
・ その他、トルコキキョウや菊なども供花として選ばれる花々。淡い色味を選ぶのが無難かもしれません。
いかがでしたでしょうか、同じお墓参りをしたり、お仏壇に手を合わせるだけでも、お彼岸にまつわるストーリーや由来を理解していると、グンと心を込めた意味のある行事となるのではないでしょうか。
毎年の暮らしの小さな行事、そのたったひとつではあるのですが、いつも変わらずひとつひとつの行事を、その意味合いを理解しながら丁寧に行うことで、自然と日々の暮らしが丁寧になります。
沖縄ではお彼岸を行わない家庭も多い一方、門中行事としてお墓参りに行く地域も見受けます。そして、お彼岸を行う家庭では、彼岸の入り後に屋敷へ感謝を捧げる「屋敷の御願」を行うことも多いです。御願の方法は大きく違いますが、「あの世とこの世が最も近くなる」との考え方は同じです。
日本に昔から残るさまざまな年中行事の由来は面白いものです。ぜひ良さを改めて確認し、今の暮らしを丁寧に過ごすきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
お彼岸の豆知識とは
・お彼岸には目蓮の「親孝行」の逸話がある
・春分と秋分の日は、あの世が最も近い日
・お彼岸には神教と仏教、両方の由来がある
・春のお彼岸にはぼたもち、秋のお彼岸にはおはぎ
・供花にはアザミや彼岸花、薔薇が人気
- カテゴリー:
- 沖縄の御願行事について