お彼岸を子どもに伝える。その由来と昔ながらの風習
お彼岸と言えば、お墓参りのイメージがあるものの、「ではどうしてお彼岸にお墓参りに行くのか?」などなど、いざ子どもに聞かれると、ちょっと曖昧で答えられない方も多いですよね。
よくよく考えると、全国的な寺院ではお墓参りに行くと本堂で、彼岸会(ひがんえ)などと呼ばれる読経法要が行われていたりもします。
昔ながらの作法としては、お彼岸ではなくても、自分達のお墓へ行く前にお寺に立ち寄って、挨拶をしながら本堂へお参りすることが習わしですが、今では直接お墓へ出向く家庭も多いもの…。
そのため、お彼岸でも彼岸会には立ち寄らず、一般的には家族でお墓参りへ行く、行事的な要素が強いのではないでしょうか。
そのため、せっかく子どもと一緒にお墓参りへ行く機会でも、お彼岸についての細やかな話は、あまりできないですよね。
2020年春のお彼岸は3月17日~23日♪そこで今回は、子どもにも伝えられる、お彼岸の由来や豆知識などをお伝えします。
お彼岸を子どもに伝える。
その由来と昔ながらの風習
「お彼岸」の時期とは
全国的にお彼岸の時期は、春先と秋口の二回。ただ、現代ではどちらかの時期にお墓参りに行くものの、両方とも行く家は少ないかもしれません。
【 お彼岸の時期 】
★ お彼岸の目安となるのは、春分の日と秋分の日。この日を境にして、前後三日間、合わせて七日間がお彼岸の期間です。
・ 直近のお彼岸は2020年春のお彼岸で、春分の日が3月20日(金)です。そのため三日目の彼岸の入りが3月17日(火)となり、三日後の3月23日(月)は彼岸明けになります。
実はこのお彼岸の時期は、時代によってさまざまに変化しているのですが、現代はこの七日間となっています。
お彼岸にお墓参りをする理由
そもそも「お彼岸」とは、簡単に言ってしまえば仏教の世界で言うところの、煩悩のない「極楽浄土」。お彼岸と対して、この世を「此岸(しがん)」と言います。
【 お彼岸にお墓参りをする理由 】
★ お彼岸の時期とされる春分の日と秋分の日。この日は、太陽が昇り沈む位置が、「真東から昇り、真西に沈む」日。
・ そのためこの世、つまり此岸(しがん)とあの世である彼岸がつながる日、と言われているのです。
そのためお墓へ行けば、亡くなった故人ともつながりやすい、とされ、この日にお墓参りへ行き、故人と話をしたり偲ぶ日になりました。
農耕民族である日本人の、お彼岸の由来
ただ、このお彼岸の中心の日(中日=なかび)は、春分の日と秋分の日ですが、この時期はそれぞれ、畑仕事をしている方々には、大切な時期でもあります。
【 お彼岸にお参りをする、もうひとつの理由 】
★ 春のお彼岸では、これから植えつける作物が無事に育つよう祈り、秋のお彼岸では、無事に収穫時期を迎えたことへの感謝を伝える行事とも言われてきました。
・ お彼岸の中日を中心とした7日間、無事に暮らしてきたことへの感謝を伝えながら、「良い行い」を意識して毎日を過ごすよう、伝えられています。
お彼岸のお供え物
ここでちょっとした豆知識なのですが、春のお彼岸には「ぼたもち」、秋のお彼岸では「おはぎ」をお供えすることは、広く知られています。
大人になった方々のなかには、幼い頃に家の女性が集まって、おはぎやぼたもちを皆で作った思い出がある方も、いるのではないでしょうか。
実はこれ、どちらも炊いたもち米をつぶして丸め、「あんこ」をまぶすことに、変わりはありません。
【 お彼岸のお供え物 】
★ ただ、春のお彼岸では春の花である「牡丹」の花にちなんで「ぼたもち」。そしてこしあんを使うことが多いのが特徴。
・ 一方、秋のお彼岸では秋の七草にも数えられる「萩」にちなんで「おはぎ」。秋は収穫時期でもあり、まだ柔らかいため、あんこも粒あんを使うのです。
さらに牡丹はぽってりとした大きな花、そのため春の「ぼたもち」は比較的大きめに作られ、小さな萩の花に見立てて、秋の「おはぎ」は小さめに丸められる傾向にあります。
お墓参りでの基本マナー
このように今日も無事に暮らしていること、五穀豊穣に感謝をするお彼岸、あの世と最も近い日でもあるため、毎回のお墓参りでもひとつの流れではありますが、お墓参りでは掃除をするのが習わし。
【 お彼岸では掃除をする 】
★ スポンジやたわしなどを持参して、お墓を掃除してからお参りをすると共に、仏壇の仏具なども掃除をしてキレイにしてください。
・ 掃除を終えたらお供え物をして、線香を拝しますが、お供え物はカラスなどに荒らされないよう、帰りには持ち帰るのがマナー。
お供えをしたおはぎやぼたもちは、家族で食べてしまって大丈夫です。
いかがでしたでしょうか、本日は一度は子ども達にお墓参りをしながら伝えたい、お彼岸についての由来や豆知識をお伝えしました。
ただただ、お墓参りに行くのも良いのですが、理由を知るとより、心がこもったお参りができるのではないでしょうか。近年ではお墓参りや御願など、昔ながらの風習が改めて見直されつつあります。
せっかくお彼岸の風習があり、お墓参りへ行くことが年中行事となっている家も多いのですから、おはぎやぼたもちも、皆で手作りをしてからお墓参りへ行くのも、良いかもしれません。
もち米を炊いたらつぶして、それをおにぎりのように両手で丸めて、こしあんや粒あんをくるむだけ。現代では小豆から作る必要もなく、あんこの缶詰などもあるので、作りやすいはず。
せっかくの日本の風習、改めてその意味まで考えながら、ぜひ試してみてください。
まとめ
お彼岸の豆知識
・春分の日と前後3日間、秋分の日と前後3日間がお彼岸
・真東から日が昇り沈むため、あの世と最も近いとされた
・五穀豊穣の祈りとしても用いられた
・春のお彼岸ではぼたもち、秋のお彼岸ではおはぎ
・自分達のスペースは掃除をする