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「クシユクイ(腰憩い)」☆拝所での拝み方

「クシユクイ(腰憩い)」☆拝所での拝み方
「クシユクイ(腰憩い)」は、沖縄の旧暦四月吉日の年中行事ですが、現代ではすっかり見なくなり、沖縄の人々でもピンと来ない方が多いですよね。

 

農業が盛んだった時代、毎日毎日あてどなく続く農作業のひとつの区切りとして設けられた「クシユクイ(腰憩い)」は、集落で人々が豚肉料理などの御馳走を持ち寄り、宴に興じました

 

そこで今日は、沖縄の旧暦四月吉日に行う慰労行事、「クシユクイ(腰憩い)」の豆知識と、個人でもできる拝所での拝み方をお伝えします。

 



 

「クシユクイ(腰憩い)」☆
拝所での拝み方

 

「クシユクイ(腰憩い)」とは


クシユクイ(腰憩い)は旧暦四月の吉日と、旧暦四月であれば特に日は決まっておらず、現代では例えば、サトウキビ収穫の後など、農作業の一区切り…、と言った役割がありました。

 

そのために、同じ時期に行われる「アブシバレー(畦払い)」の農耕儀礼では、よくよく聞くと「音を立ててはならない」などの禁忌を持つ地域もありましたが、クシユクイ(腰憩い)にはありません

 

【 クシユクイ(腰憩い) 】

 

★ 現代ではほとんど見られなくなったクシユクイ(腰憩い)ですが、今も残る地域では、それぞれが麦飯やあまがし、はったい餅などの「御馳走」を持参して、宴をする様子も見受けます。

 

・ その昔には、宴に加えて神職の人々が地域の拝所(うがんじゅ)を巡拝し、感謝と豊作を祈願していました。現代でも個人的に拝みを捧げる様子も見受けます。

 

農作業で働く人々を労う「慰労」の意味合いがあるために、公民館などで踊りやエイサーなどを披露するイベントを行う様子も見受けました。

 

 

仕事や家族の発展を祈願する


このように、その昔には毎日毎日あてどなく続く、農作業の一区切りとして行われた農耕儀礼が「クシユクイ(腰憩い)」でしたが、現代は農業の衰退と共に、知る人々も少なくなりましたよね。

 

けれども、昔ながらの沖縄の旧暦行事を残す意味合いも込め、現代では日々の仕事の慰労と、仕事の出世や発展を祈願するとして、拝みを捧げ、クシユクイ(腰憩い)儀礼を後に残す人々もいます。

 

クシユクイ(腰憩い)で御願をするのであれば、日々、無事に農業を営む環境を見守ってくださった、地元の拝所(うがんじゅ)への拝みです。

 

【 クシユクイ(腰憩い)の拝み方 】

 

★ 地元の氏神様(御嶽や拝所、土帝君など)へ拝みます。

 

《 ウサギムン(お供え物) 》

 

① ウサケ(お酒) … 左右一対の徳利、その中央に盃に注いだお酒を供えるのが正式ですが、現代ではカップ酒を供える方も多いです。

 

② 花米 … 「花米」は研いでいない米粒で、「カラミハナ」などとも言います。小さなお皿にひと盛り、供えてください。

 

…以上を膳に配膳して、イビ(御嶽にあります、拝み処の石)の前に供えます。

 

★ ヒラウコー(平線香=沖縄線香)はタヒラ半(二枚半=日本線香12本と3本)です。

 

その昔のクシユクイ(腰憩い)で、神人はガーや土帝君(トゥーティークン)など、いくつかのゆかりある拝所(うがんじゅ)を巡拝をしました。

 

けれども現代では地元で最も大きな拝み処に御願をするだけの方も多いのではないでしょうか。

 

 

アブシバレー(畦払い)前が安心


旧暦四月十四日・十五日に行われる虫払いの儀礼、「アブシバレー(畦払い)」の後から、御嶽への拝みを禁忌(物忌み)とする地域が、かつての沖縄では多くありました。

 

現代ではそもそも、アブシバレー自体も見なくなりましたが、「物忌みを破ると大風が吹く」などの言い伝えもあるために、気になる方は、旧暦四月十四・十五日よりも前に行うことをおすすめします。

 

【 旧暦四月前半のクシユクイが安心 】

 

★ その昔は牛オーラセー(闘牛)や相撲に興じたクシユクイ(腰憩い)も多くありました。

 

・ アブシバレー(畦払い)でも、宴を催す地域も多かった一方、地域によっては「鳴り物」禁止、などの禁忌も多くありましたので、アブシバレー(畦払い)前の旧暦四月前半が、より安心です。

 

…ちなみにアブシバレー(畦払い)では、この他にも田畑に肥料を興すこと(害虫を祓う儀式なので)や、針仕事を禁忌をする地域もありました。

 

 

旧暦四月時期に盛んだった「牛オーラセー」


旧暦四月時期、新暦では五月の中旬時期に盛んだった娯楽のひとつに、「牛オーラセー」があります。

 

【 沖縄の伝統娯楽「牛オーラセー」 】

 

★ 「牛オーラセー」は「闘牛」で、沖縄では昔から馴染みが深く奥も深く、沖縄県北部地域などはもちろん、国際通りの裏側(今の那覇市公民館)などでも、つい最近まで闘牛大会が行われていました。

 

・ 現代では平成19年に建設された「うるま市石川多目的ドーム」が闘牛大会会場として有名です。

 

旧暦四月(新暦五月中旬)頃から行われる、「春の全島闘牛大会」を中心にして、五月から八月のこの時期、多くの闘牛大会を見ることができます。

 

詳しくは別記事「牛オーラセーは沖縄の闘牛大会☆現代に残る伝統娯楽」なども参考にしてください。

 

 

 

いかがでしたでしょうか、本日は旧暦四月吉日に行われていた、終わりのない農作業を一休みして、お互いの労働を労う農耕儀礼、「クシユクイ(腰憩い)」についてお伝えしました。

 

旧暦四月は新暦2019年では5月5日~6月2日、クシユクイ(腰憩い)だけではなく、旧暦四月の害虫駆除の農耕儀礼である「アブシバレー(畦払い)」の儀式も、すっかり廃れてしまいました。

 

けれども、農業ではなくとも「仕事の発展」として、現代まで個人で拝みを続けたり、さとうきび畑などでは、今も一区切りの感謝の農耕儀礼として、続く地域も見受けます

 

牛オーラセーなどの娯楽も多くなるこの時期ですので、仕事の区切りがてら、自らの労を労い、感謝を捧げるのも、良いのかもしれません。

 

 

まとめ

旧暦四月吉日「クシユクイ」とは

・農作業の労働を労う儀礼が「クシユクイ」
・御馳走を持ち寄って、宴を催した
・氏神様や地元の御嶽を巡拝し祈願した
・現代も個人で御嶽を巡る家もある
・物忌みのない、アブシバレー前が安心
・御嶽の拝みではお酒と花米を供える
・この時期は牛オーラセーなどの娯楽もある

 



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