沖縄のお墓参り☆覚えておきたい3つの年間行事とは
沖縄でのお墓参りは、墓前で親族やゆかりある人々が大勢集まって、賑やかに楽しく行う「ウサンデー」が有名ですよね。確かにお墓参りでありながら、お祝い事の意味合いを持つ、沖縄のお墓参り行事も少なくありません。
「ウサンデー」とは、沖縄でお墓参りの際にお供えする「ウサンミ」と呼ばれる2段か4段の重箱料理を、参加した人々で分け合って食事を楽しむもの。本州で言うところの、法要後の会食に似ているでしょうか。
そしてもうひとつ、沖縄のお墓参り行事ではほとんどが旧暦で数えられていることが特徴的。せっかく沖縄にいるのなら、もしくはご縁があるのなら、沖縄の風習に倣ったお墓参りでご先祖様を供養したいですよね。
そこで今回は、沖縄でのお墓参りで、沖縄に住む人々なら誰もが知っている、三つの行事をお伝えします。
沖縄のお墓参り☆
覚えておきたい3つの年間行事とは
一月に行う沖縄のお墓参りは、「十六日」
沖縄はお墓参りだけではなく、お正月やお盆なども旧暦を用いますが、この「十六日」も旧暦の一月十六日。旧暦のお正月からすぐに行われるお墓参り行事ですが、沖縄のほぼ全域に広がっている風習。
【 沖縄のお墓参り:十六日 】
★ 呼び方は「ジュウルクニチー」ですが、一方で後生のお正月を意味する「グソームショウグァッチ(グソー=後生の正月)」とも呼ばれています。カタカナで読むとピンとこないので、機会があればぜひ、聞いてみてください。
・ 沖縄のお墓参り、三大行事であるだけに、親族が集まる日。なかにはお正月は家族で過ごして、十六日は親族の元へ参加する家庭も見受けられます。
沖縄全域でも広くお墓参りをするのですが、特に離島である宮古や八重山地方では沖縄のお墓参り、三大行事のなかでも、より大きな役割を担っているのが、この十六日。
【 沖縄のお墓参り:三重城での御願 】
★ そのため沖縄本島に暮らす多くの宮古や八重山出身の方々は、この日に故郷へ帰省するのですが、帰省しなかった人々は、三重城(ミーグスク)で、島の方向へ向かって御願をする風習も。
沖縄の一般的なお墓参りと同じく、「お墓参り」と言っても、一連の儀式を終えた後は、重箱のお供え料理を分け合って食べるウサンデー。時には踊ったり、歌ったりする光景も見られ、賑やかに過ごす方々が多いのも特徴的です。
観光客もこれを目的に訪れる?「清明祭」
沖縄のお墓参り、三大行事のなかでも最も全国的にも有名なものが、この「清明祭」ではないでしょうか。本州では春のお墓参りと言えば、彼岸が一般的ですが(秋口にも彼岸はありますが…。)沖縄で春先のお墓参りと言えば、この清明祭です。
【 沖縄のお墓参り:清明祭 】
★ こちらもお墓参りではありながら、お祝いの意味合いを持つ沖縄のお墓参り行事。呼び方を「シーミー」と言い、那覇市の首里地区などでは「ウシーミー」とも呼ばれています。
・ 清明祭でもウサンミと呼ばれる、墓前にお供えするための重箱料理を準備。供えた後に一連の儀式を行った後には、お供え料理を参加者皆で分け合い、ウサンデーを楽しむのが恒例行事。
これは家のように大きなお墓を持つ、沖縄ならではの風習ではありますが、最近では小さなお墓も増えてきたため、施設内の芝生スペースなどに、レジャーマットを並べて、ウサンデーを楽しむ家庭も増えてきました。
【 沖縄のお墓参り:神ウシーミー 】
★ 清明祭は、旧暦の二十四節気に分けられた季節のなかの「清明」の時期(節気)に行われるお墓参りで、新暦では毎年少しずつ変わりながらも、四月~五月初旬頃が目安。
・ 近年ではほとんど見なくなり、ずいぶん少なくなりましたが、実はこの清明祭(シーミー)の前に、神ウシーミーと呼ばれる、清明の節気になってすぐの時期に、ご先祖様に関わる、より古いお墓にお参りする風習があるのです。
お盆を知らせる、「七夕」
そして最後の沖縄のお墓参りは「七夕」。けれども七夕に限っては、他のふたつの沖縄のお墓参り行事とはことなり、ごくごく身内で行われるのが特徴。
七夕自体が大きなお墓参り行事、と言うよりは、七夕の目的がお盆を知らせることであるために、お盆の始まりの役割を果たしていることが大切。ちなみに、本州でも織姫と彦星の七夕行事がありますが、あの七夕とは全く関係がありません。
【 沖縄のお墓参り:七夕 】
★ 七夕は沖縄でもそのまま「タナバタ」。七夕だけに旧暦の七月七日に行くお墓参り行事です。新暦ではないので、旧暦行事に慣れていない方は気をつけてください。
・ そのためお供え物もウサンミの準備をしない家が多く、ほとんどが供え花にウチャトゥ(お茶)、お酒とお線香(ヒラウコー)のみ。お掃除をして、お盆の日が近づいていることを知れせることが一番の目的です。
このような七夕ですが、お墓の改葬などの重要なお墓事をしたい方々にとっては、とても大切な日。…と言うのも、この七夕は「日無し」と呼ばれているのです。
【 沖縄のお墓参り:日無しの七夕 】
★ 「神様の目が届かない」とされる「日無し」は、お墓事をしても神様に咎められない、絶好の日。さまざまな決まりごとが解かれる日なので、お墓を建てたり、改葬したり…などがしやすい日取りとされています。
・ この他の「日無し」の時期は数年に一度訪れる「ユンヂチ」と呼ばれる一年間。
この時期と誰かが亡くなった時以外には、お墓を開けてはいけない、…とする家庭もあるので、お墓事を進めるには、七夕は滅多にない機会ではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか、沖縄のお墓参りは本州と比べても独特なものですが、お墓参りでありながらお祝いの要素も含まれたり、墓前で親族やゆかりある人々が集まって、楽しくウサンデーをする様子は、とても微笑ましいもの…。
最近では沖縄でも核家族化も進み、お墓自体も納骨堂や個人墓の建設が増えてきました。そのため、以前ほど多くの人々が墓前に集まってウサンデーをする様子は、見受けられなくなりましたが、それでもまだまだ、風物詩となっています。
例え個人墓で、一家族だけだったとしても、十六日には墓前で集まり、清明祭ではウサンデーを家族で楽しみ、七夕にはお墓の掃除をしながら、お盆をお知らせして、一年をご先祖様とともに過ごしたいですよね。
お墓自体は沖縄でも小さくなりつつありますが、気持ちは同じ。より身近になった沖縄のお墓、お参りも気軽に参加してください。
まとめ
沖縄の三大お墓参り行事の基礎知識
・旧暦一月十六日に行う、「十六日」
・三重城では離島出身者の方々が御願をしている
・春先の清明の節気に行う、「清明祭」
・清明祭の前に、神ウシーミーを行う家庭もある
・お盆を伝える、旧暦七月七日の「七夕」
・七夕は日無し、お墓事をするには良い日取り