【沖縄の焼香】四十九日の位牌の交換。本位牌へ移す御願
沖縄の四十九日の儀礼と言えば、位牌の交換がありますよね。亡くなってすぐに準備される「シルイフェー(白位牌)」は仮位牌となるため、沖縄では四十九日を目途に本位牌を準備します。
先祖崇拝の象徴と言える位牌は、沖縄では大変重要な存在です。
それは、沖縄の言葉で位牌を意味する「トートーメー」が、沖縄の祭祀継承そのものを差すこともあることからも、その存在の大きさが分かるのではないでしょうか。
それだけに丁寧に行いたい儀礼が、沖縄の四十九日での位牌交換の拝みです。そこで今日は、沖縄で四十九日に行う、位牌交換の儀礼についてお伝えします。
【沖縄の焼香】四十九日の位牌の交換。
本位牌へ移す御願
仮位牌から本位牌へ
葬儀当日に納骨式まで済ませることも多い沖縄では、四十九日までに準備するものと言えば「本位牌」です。そして位牌と一緒に香炉も仮の香炉から本香炉へと変わります。
冒頭でお伝えしたように、仮位牌は「白位牌=シルイフェー」と言われ、沖縄では四十九日を目途に交換をしてきました。
【 沖縄の四十九日:位牌の交換をする儀礼 】
① 「ヒジュルウコー」と呼ばれる火を付けていないヒラウコー(沖縄線香)をタヒラ(二枚)用意してください。
② 施主はヒジュルウコーを持って、シルイフェーを囲むように、ぐるぐると三回廻します。
③ 三回廻すと同時に、シルイフェーの魂が本位牌へと移動するためのグイスを唱えてください。
④ 次に本位牌(ホンイフェー)の回りを三回、ぐるぐると廻しながら、同じように魂を抜くグイスを唱えます。
⑤ 使用したヒジュルウコーに火を付け、本香炉へ拝してください。
⑥ 最後に本位牌に対して、シルイフェーから本位牌への繋ぐグイス「繋ぎのグイス」を唱えます。
⑦ 残されたシルイフェーを処理しておしまいです。
…ちなみに、このような「魂を抜く(その後、移動させる)」沖縄の御願儀礼は「ヌジファー(抜魂)」の儀礼です。
本位牌へのヌジファーのグイス
ヒジュルウコーを三回廻しながら唱えるグイスでは、良き者のみを繋ぐようお願いをしてください。今回は沖縄の四十九日の御願として、グイスをお伝えします。
【 沖縄の四十九日:白位牌へのグイス① 】
①「ウートゥートゥー (干支・性別)ヌ クヌユー シリヤビンティガラ、シンジュウクンニチヌ ウスーコーヌ ブジニ ウワヤンビティ、
(かしこみかしこみ、(干支・性別)がこの世を去ってから、四十九日の焼香まで、無事に終わりまして、)
ナママデ ウグァンドーリビンタル シルイフェーヤァ、フンイフェーカイ ツゥイケー スルクトゥンカイ ナビタン、
(今まで拝んできました白位牌を、本位牌へ取り換えることになりました)」
…と、まずは白位牌から本位牌へと交換すること、無事に四十九日焼香が終わったことを位牌にお伝えします。
【 沖縄の四十九日:白位牌へのグイス②③ 】
②「シルイフェーカラ リッパニヌジファーシミティ、 ティナギアワシ ムスビアワシ シミティクミスーリー
(白位牌から立派に抜魂をしていただき、繋ぎ合わせ 結び合わせてください)」
…ここでは白位牌から本位牌へと、移動するようにお願いしています。
③「マタ、ナママディ ウグァンドーリンビータル シルイフェーヤァ、サギラチ クィミスーリー
(また、今まで御願を捧げてきた白位牌は下げさせてください)」
白位牌から本位牌へ
このように白位牌から魂を抜く「ヌジファー(抜魂)」の儀礼を終えたら、次は本位牌へ語り掛けます。
【 沖縄の四十九日:本位牌へのグイス① 】
①「ウートゥートゥー、(干支・性別)ヌ シルイフェークラ ヌジファーヌ ウグァンダディ スーリビングトゥ、
(かしこみかしこみ、(干支・性別)の白位牌から抜魂の御願をしていますので、)
ドゥーリン リッパニ ウツッチ クィミスーリー、ティナギアワシ ムスビアワシ シミティクミスーリー
(どうぞ立派に移ってくださり、繋ぎ合わせ 結び合わせてください)」
このグイスを唱えた後、使用していたヒジュルウコーに火を灯して、本香炉へ拝します。そしてさらに本香炉へ手を合わせて、下記のように唱えれば終了です。
【 沖縄の四十九日:本位牌へのグイス② 】
②「(干支・性別)ヌ シルイフェーカラヌ ヌジファヌ ウグァンダディ スーイビングトゥ、
(干支・性別の白位牌から、抜魂の御願を行っておりますので、)
ドゥーリン リッパニ ホンイフェー二 タマスィーヤァ ウツッチ クィミスーチ、
(どうぞ立派に本位牌へ魂を移してくださり、)
ティナギアワシ ムスビアワシ シミティクミスーリー
(繋ぎ合わせ 結び合わせてください)」
これで、本位牌(ホンイフェー)から仮位牌(シルイフェー=白位牌)への儀礼は終了です。
残された仮位牌(シルイフェー)
さて、残された白位牌はどのようにするのか…と言えば、今では葬儀社が手伝ったり、お坊さんの読経供養もあることから、さまざまな方法があります。
【 沖縄の四十九日:シルイフェーの対処 】
① 四十九日を葬儀社が手伝ってくださった場合には、葬儀社スタッフが持ち帰ってお焚き上げをしてくださるケースが多いです。
② また沖縄の四十九日でも、お坊さんの読経供養があった場合には、お坊さんがお寺へ持ち帰り、お焚き上げをしてくれることがあります。
③ 自分達で沖縄の四十九日を執り行った場合には、墓前でシルイフェーを燃やしてお酒で消してください。
いかがでしたでしょうか、今日は沖縄の四十九日で行われる、位牌の交換儀礼についてお伝えしました。…とは言え、これは沖縄の御願であり、今ではお坊さんの読経供養によって位牌を交換する事例も多いです。
それでも沖縄位牌を使用し、旧暦行事に倣い供養を行うのですから、このような沖縄の御願も並行して行っておくことをおすすめします。
その昔は位牌の交換の際、シルイフェーを少し削って焚き、その灰を本香炉に入れてからヌジファーの儀礼を行っていましたが、今では「それでは良い事柄も悪い事柄も移ってしまう」と少なくなりました。
沖縄の四十九日で行う御願には、仮香炉から本香炉への交換もありますので、ぜひ別記事「【沖縄の焼香】四十九日に本香炉へ。仮香炉から変える御願」も一緒にチェックしながら、悔いのない供養を進めてください。
まとめ
沖縄の白位牌から本位牌への交換
・四十九日に仮の白位牌から本位牌へ交換する
・まず、白位牌に「抜魂」の御願を行う
・続いて本位牌にも魂が移るよう御願をする
・使用したヒジュルウコーに火を灯し拝する
・再び本位牌に拝みを捧げて終了
・残った白位牌は墓前で燃やす
・位牌交換前に香炉も本香炉へ交換する