沖縄の新十六日(ミージュールクニチー)☆供養の仕方③
沖縄本島の「新十六日(ミージュールクニチー)」は、故人が亡くなってまだ間もない家で行われる法要(供養行事)ですよね。
沖縄本島では新十六日(ミージュールクニチー)を執り行う年は、同じお墓参りながら「お祝い事」とされるお墓参り行事の「清明祭(シーミー)」は控えます。
ですので沖縄の方々のなかには「新十六日は何年後まで行えばいいの?」と言う相談も多いですが、地域によってさまざまながら、「2年まで」が一般的です。
沖縄の新十六日は新暦1月16日の「後生の正月」、あの世の正月に行います。…2020年の沖縄の新十六日は2月9日(日)です。
そこで今日は、沖縄の法要「新十六日」の執り行い方を、「その3」として、ご霊前での供養からお伝えします。
沖縄の新十六日(ミージュールクニチー)☆
供養の仕方③
家で行う沖縄の新十六日
沖縄の新十六日は法事のひとつではありますが、一年忌(イヌイ=一周忌)などの法要のような立ち位置ではありません。
そのために、もともと沖縄のスーコー(焼香=法要)はムチスク(お仏壇のある家)で行うことの多い沖縄ですが、日ごろ法要を会場を借りて執り行うような家庭でも、家で拝むケースが多いです。
それでも、この日には一年忌(イヌイ=一周忌)などの法要ほどではないにしろ、身近な親族や知人友人が、お香典を持って焼香に訪れます。
【 沖縄の新十六日☆焼香の準備 】
★ ムチスク(お仏壇のある家)へ訪ねる人々は、下記のようなものを持参して訪れてください。
・お香典(千円~3千円ほどで大丈夫です。)
・お供え物(ちょっとしたお菓子や果物で問題ありません。)
…なかにはお供え物の乗せる「ウチカビ(※)」を持参する方も見受けますが、多くのムチスク(お仏壇のある家)でウチカビを多めに準備をしています。
(※)ウチカビは「あの世のお金」と言われ、故人があの世で使うお金です。沖縄では多くの法要や御願行事でこれを焚き天へと送ります。
焼香客はムチスク(お仏壇のある家)に尋ねたら、最初にお仏壇にヒラウコー(平線香=沖縄線香)半ヒラの3本を拝して拝み、そこにお供え物を置いていただいた後、ウチカビを3枚、持参したお供え物の上に乗せます。
ムチスク(お仏壇のある家)の家族がお供え物を置く場合が多いですが、もしも自分で持参したお供え物をご霊前に置くのであれば、「〇〇家の〇〇からです。」と伝えて供えてください。
ムチスクでのグイス(祝詞)
ムチスク(お仏壇のある家)では、ご霊前にお重料理を供えます。旧暦行事が今にも色濃く残る本島南部地域などでは、お重料理のおかず(ウサンミ=御三味)を手作りする家も多いです。
ただ、現代では法事料理の仕出し店などが多くありますので、事前に注文して用意する家が多いのではないでしょうか。
沖縄の新十六日で用意するウサギムン(お供え物)の準備について、詳しくは別記事「沖縄の新十六日(ミージュールクニチー)☆供養の仕方①」でお伝えしていますので、コチラをご参照ください。
【 沖縄の新十六日☆焼香客を迎え入れる 】
★ 焼香客が訪れます。
→ お供え物(「こころざし」と言います。)を持参していたら、これを預かり、ご霊前に「〇〇家の○○からです。」と伝えて、供え、上にウチカビ3枚を乗せてください。
→ お供え物(こころざし)は、孫などの子どもからのものも多いです。小さな駄菓子やお菓子のようなものもありますが、微笑ましく供えます。
ある程度焼香客が揃ったら、拝みを捧げ始めてください。今回は昔ながらの沖縄言葉での拝み言葉(グイス=祝詞)をお伝えしますが、今では同じ内容なら現代語で伝えても問題ありません。
【 沖縄の新十六日☆ご霊前でのグイス 】
★「ウートゥートゥー、チューヌ ヒガラムトゥー ディービル、
(なむなむ、今日の良き日に)
チネーサンムトゥ ウトゥーティー ○○(干支)ディー ○○(男or女)ヌ、ミージュールクニチーヌ グゥクヨゥー アギトゥーイビイン。
(この家で○○(干支)の○○(男or女)の新十六日のお供養を上げております。)
マグクルカラヌ イルイル ウカザイ アギャビティー、ジュールクニチーヌ ウグァンダディ スーリビングトゥー、
(心からのいろいろなお飾りをお上げして、十六日の御願立てをしておりますので、)
ウキトゥイジュラスァー ウタビミスーリー。
(どうぞ受け取って下さいますように…。)
○○(干支)ディー ○○(男or女)、 グソー グクラク トゥーティ ウタビミスーチー、
(○○(干支)の○○(男or女)が、あの世で極楽浄土へ行きますように、)
ドーリン ジョーブツシミティ、ウタビミスーリー、ウートゥートゥー。
(どうか 成仏させて下さいますように…、なーむー。)」
…なかにはお重料理の内容(海の幸・山の幸などなど)を細かくお伝えする家もあります。
ご霊前での拝みの後
以上の拝みを終えましたら、①ウハチケースン(お初を返す)して、②ウチカビを燃やしてあの世へ送ります。ここで火鉢(カビアンジ・カビバーチ)が必要です。
金属ボウルに水を張り、悪霊を追い払う香の強いネギなどの輪切りを入れて、そこにウチカビを燃やしてください。
ウチカビは沖縄では馴染み深い御願道具で、日ごろからホームセンターやスーパーなどで販売しています。50枚や100枚で100円など、安いです。
【 沖縄の新十六日☆拝みの後 】
① ウハチケースン(「ウハチ=お初」を「ケースン=返す」※お供え物の「お初」をお出しする。)
→ 拝みを終えたら集まった人々で、供えてあるお重料理のおかずを1品から数品取り出し、ひっくり返して、またお重の上に乗せてください。(これで、お供え物をお出ししたことになります。)
② ウチカビはムチスク(お仏壇のある家)の家長で5枚、その家族や集まった親族や焼香客は3枚が一般的ではないでしょうか。
→ それぞれが火鉢(カビアンジ・カビバーチ)で焚く時に、「○○家の○○からです。」とお伝えして焚きます。家長から故人と近しい人物→遠い人物の順番で焚いてください。
焚いた後に火鉢(カビバーチ・カビアンジ)に残った水は、門前に流す方法が一般的でしたが、最近では門前もあまりないために、キッチンやトイレ(水のみで後は捨てる)で流す家も増えました。
供えていたウサギムン(お供え物)などは、それぞれウサンデー(下げる)して、集まった皆でいただき、良い頃合いに焼香客は帰ります。
いかがでしたでしょうか、今日は沖縄の法要行事「新十六日(ミージュールクニチー)」について、執り行い方をお伝えしました。
前日のお重料理(御三味(ウサンミ))の準備から、当日朝のお墓参り…、親族や焼香客を迎えて、法要を執り行いお見送りするまで…、さまざまな習わしがあるために、3回に分けてお伝えしました。
沖縄の新十六日についてや、前日までの準備、ご霊前でのお供え物に関しては「沖縄の新十六日(ミージュールクニチー)☆供養の仕方①」にてお伝えしています。
また、沖縄の新十六日当日の朝に行うお墓参りでの拝みの仕方については、「沖縄の新十六日(ミージュールクニチー)☆供養の仕方②」でお伝えしていますので、コチラも併せてご参照ください。
まとめ
新十六日、ご霊前での御願方法
・焼香客はお香典とお供え物を持参する
・「〇〇家の○○からです」とご霊前にお供え物を供える
・お供え物の上にはウチカビを乗せる
・揃ったら家長が拝みを捧げる
・拝みの後、重箱のおかずをひっくり返す(ウハチケースン)
・それぞれの人数分のウチカビを焚く
・焚いた後は門前に流すのが昔の風習
・残りのお供え物などはウサンデーする
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