沖縄のお墓は正に「家」。琉球墓の5つの魅力とは
沖縄のお墓に興味を持つ方々は、他地域の方々でも案外多いですよね。もちろん、それは日本国内において他にない、唯一無二の沖縄の文化、風習であることが一因ですが、それだけではありません。
沖縄のお墓が持つ、独特の温かみに魅力を感じる方々が多いのです。確かに沖縄のお墓は「墓石」「墓地」のイメージとは少し離れた、「小さな家」のような感覚があります。しっかりとした扉に屋根、故人がそこで住んでいるようです。
そのお墓のスタイル同様、沖縄の人々にとって故人は、より身近に感じられる存在にも捉えられます。とても興味深いですよね。
そこで今回は、沖縄でお墓を建てる方々に、沖縄のお墓が魅力的なその理由と、特徴を5つ、お伝えします。本記事を参考にしながら、よりお墓の存在を身近に感じてください。
沖縄のお墓は正に「家」。
琉球墓の5つの魅力とは
沖縄のお墓の大きな特徴
全国で一般的なお墓と言えば、長方形の石が積み上げられた和型と言われる「和風墓」、そして最近では海外で見られる、名前が彫られたプレートの洋型、「洋墓」ではないでしょうか。
【 独特の沖縄のお墓 】
■ 沖縄のお墓の特徴は、「家」のように遺骨を入れる部分が広い点です。遺骨を収納する扉が観音開きのタイプもあり、その前に焼香台が置かれています。
実はこの沖縄独特のお墓は、その昔風葬の習慣があったことが始まりです。その周囲に石を積み上げたなごりが、現代の家のようなお墓なのです。
沖縄のお墓、昔ながらの種類
沖縄ではこのような、遺骨の収納部分が広く家のような造りになっている点では、共通していますが、屋根部分に少し違いがあります。
【 沖縄のお墓、破風墓と亀甲墓 】
■ 丈夫の屋根部分が昔ながらの家屋の「破風屋根」の形になっているもの、亀の甲羅のような形になっているものがあります。
また、屋根の正面のデザインもさまざまあり、琉球王朝の王族などをはじめ、この正面で一族が分かるお墓もあります。
沖縄のお墓で、「宴会」?
沖縄のお墓参りは、本州のように「いつでも気が向いたらお参り」する訳ではありません。地域によって異なりますが、「清明祭(シーミー)」など、決まった年中行事として、親族がお墓の前に集います。
沖縄は父方の血を引く「一族」である「門中」も盛んですから、この決まった日のお墓参りは、大勢の人々が集う沖縄のお墓も多く、墓前が賑やかです。
【 沖縄のお墓は、前で宴会をする? 】
■ 重箱に沖縄ならではの料理を詰め(ウサンミ)、お墓の前にシートを敷いて、親族やゆかりある人々が自由に食事をつまみ歓談し、お酒や飲み物を飲みます。
お墓が完成した時にも、全国的な風習と同じく「魂入れ」の供養が行われ、その際に会食がありますが、全国的には会場に移動して会食するのに対し、沖縄ではお墓の前で食事やお酒を振る舞い、カチャーシーなどを踊り祝う沖縄のお墓が多いです。
沖縄のお墓に多い、「屋根」
このようなことからか、沖縄のお墓では屋根が敷地全体に伸びていたり、大きめに作られているものも多く見かけます。
【 沖縄のお墓には「屋根」も見られる 】
■ 最近では霊園など、小さな敷地にコンパクトな沖縄のお墓を建てる事例も多くなりましたが、昔ながらの広い敷地でのお墓では、雨風をしのぐための屋根が設けられているものも、多く見受けます。
このように、全国的なお墓のイメージを覆す、小さな家のような沖縄のお墓では、御影石などの墓石ではなく、コンクリートで作られたお墓もあるため、驚く方々も多いです。
沖縄にお墓を建てたい、その理由
このような事情から、沖縄のお墓は全体的に存在感があり、全体的に丸いイメージも相まって、実は本土でのお墓のような「怖い」イメージがあまりありません。むしろ、お墓自体が温かいイメージがあるのです。
【 「子宮」と言われる亀甲墓 】
■ 特に沖縄のお墓である亀甲墓は、故人が死後、母の胎内に戻るとして「子宮」を象ったとも伝えられ、その逸話に感銘する方々も見受けられます。
そのために「沖縄のお墓に入りたい」と、他地域から沖縄のお墓を希望して移住した、と言う体験談もあるほどです。
沖縄のお墓、現代事情
このように独特の風習を持つ沖縄ですが、もちろん他地域と同様に、沖縄のお墓事情もさまざまな変化が見られます。
【 現代の沖縄のお墓事情 】
■ 広い墓地を利用したお墓も、墓地埋葬法や維持管理などから発生する墓地問題から、新しく建てるには今まで以上に難しくなったこともあり、新しくお墓を建てる場合、最近ではよりコンパクトなお墓が多くなっています。
そのため、和風墓と琉球墓を組み合わせたデザインも見られ、都心近郊などと同様に、お墓参りがしやすい管理型公園墓地や霊廟も見られるようになりました。
いかがでしたでしょうか。不思議なことに沖縄のお墓は、お墓のイメージ自体はもちろん、人々の心のなかでも「怖さ」はなく、温かいイメージが強いのが大きな特徴です。これは沖縄の人々が、幼い頃から当たり前のようにお墓の前に集い、先祖を偲び、敬ってきたからかもしれません。
また、墓石の形状に限らず、その供養の様子も、お墓に向かって気軽に話しかけられる、こんな様々な環境から、悲しみよりも明るさ、温かさが先行する供養や年間行事であることも、特筆すべき特徴です。
区画整理なども問題ももちろんありますが、都心の那覇市であっても少し道を外れると、ちょっとした所に突然お墓が現れたりするのも、他地域に住む方々にとっては不思議な光景ではないでしょうか。
こんな沖縄のお墓事情を頭に入れながら、沖縄県内を散策してみても、面白いかもしれません。
まとめ
沖縄のお墓の特徴と魅力とは
・沖縄のお墓の造りは、正に家のよう
・沖縄の主なお墓の種類は、破風墓と亀甲墓
・沖縄ではいわゆる「会食」をお墓の前で行う
・雨風をしのげる屋根を広げたお墓も多い
・亀甲墓は「女性の子宮」とも言われている
・墓地の減少から、現代ではお墓もコンパクト化している