【沖縄の昔話】竹富島の星砂。悲しきウマヌファ星の物語
沖縄の昔話は多くの御嶽(うたき)や名所の数だけ、多くありますよね。海に囲まれた沖縄の砂浜は、星の形をした「星砂」でも有名です。国際通りなどのお土産屋さんでは、星砂の瓶詰めも多く見つけるのではないでしょうか。
沖縄の昔話には、この星砂にまつわるものもあります。今回お伝えする沖縄の昔話は、竹富島の砂浜に伝わるものですが、沖縄本島でも砂浜自体が数少なく、現在では昔のように多くの星砂を見つけることはできません。
最近の沖縄のお土産屋さんには、この星砂をアレンジしたおしゃれな雑貨やアクセサリーが増え、専門のお店なども発見できます。可愛らしいアクセサリーや雑貨とともに、星砂の沖縄の昔話を添えるのもアイデアですよね。
そこで今回は、竹富島に伝わる沖縄の昔話、星砂が砂浜に流れた理由をお伝えします。
【沖縄の昔話】竹富島の星砂。
悲しきウマヌファ星の物語
ニヌファ星とウマヌファ星
沖縄では北極星のことを「ニヌファ星」と言います。このニヌファ星が南に光るウマヌファ星に恋をしました。ウマヌファ星も、このニヌファ星の想いを受け入れ、天の神様に祝福されて、二人は夫婦になりました。
【 沖縄の昔話、ニヌファ星とウマヌファ星 】
★ 時が流れて子どもを授かる時期がやってきます。二人は「どこで子どもを産もうか?」と話し合い、ウティンヌカミ(天の神様)に相談することにしました。
・ ウティンヌカミはひとつの島を指さし、「この南の海に浮かぶ島は、美しいサンゴ礁に囲まれ、空と海は透明で光り輝いている。ここで子を産めば、ニヌファ星のようにキラキラと光り輝く子らが生まれるだろう。」と言いました。
北極星のニヌファ星はどの星よりも強く光り輝き、妻となったウマヌファ星は、「夫のような光り輝く子どもを産みたい。」と考えていました。そのため、二人はウティンヌカミの助言通り、竹富島の砂浜で子どもを産むことにしたのです。
リュウグ(竜宮)の神の怒り
やがて出産の時を迎えた夜深く、ウマヌファ星はキラキラと輝くたくさんの子ども達を産みます。子ども達はキラキラと美しく輝きながらゆっくりと海に広がり、その姿は天から見ても美しいものでした。
母星となったウマヌファ星は、「子ども達よ、お前たちはこの海でたくましく育っておくれ。そして父星のニヌファ星のように立派な星になってから、空へ戻ってきておくれ。」と母の顔になって伝えます。
【 沖縄の昔話、リュウグの神の怒り 】
★ ところが、子どもが海に広がる様子を見て怒った神様がいました。それが海の神様であるリュウグヌカミです。「私に許しも得ずに、穢れ多きお産を行うとは何事だ!」
・ 実は、ウティンヌカミはリュウグヌカミに、ウマヌファ星のお産のことを伝えていなかったのです。そうとも知らず、リュウグヌカミは海の大蛇を呼びつけました。
リュウグヌカミは大蛇にウマヌファ星の子ども達を、全て食べつくすように言いつけます。星の子ども達は必死に逃げ回るのですが、ニヌファ星の子ども達です。
暗い夜の中でキラキラと光り輝き、すぐに追い詰められて逃げ切れません。とうとう、一人残らず、全ての星の子ども達が食い尽くされてしまいました。
砂浜に流れ着く星の子ども
大蛇に食べられた星の子ども達の骨は星砂となり海を漂い続け、最後には竹富島の東美崎(アイミシャン)にどんどん打ち上げられるようになります。
ところで、この様子をずっと見ていた神様がいました。それが竹富島の東美崎(アイミシャン)に鎮座する、御嶽(うたき)の神様です。
【 沖縄の昔話、東美崎の神様 】
★ その様子をずっと見ていた東美崎の御嶽の神様は、ウマヌファ星とその星の子ども達をたいそう哀れに思いました。そして「せめてお祭りの日だけは、子ども達とウマヌファの母星を会わせてあげられないものか…。」と考えます。
・ そしてお祭りの日には、東美崎に流れ着いた星の子ども達の亡骸(星砂)をウコール(香炉)に入れ、ヒラウコー(沖縄のお線香)の煙に乗せて、ウマヌファの母星の元へ帰したのでした。
それからウマヌファの母星とその子ども達は、竹富島で年に一度だけ、お祭りの日に会うことができます。
沖縄の昔話の場所、「星の砂浜」
この沖縄の昔話に出てくるような「星砂」を見つけることができる砂浜で有名なビーチに、「カイジ浜」があります。よく南国写真で見ることができるような、透き通る海が特徴です。
ただ、沖縄で人気のシュノーケリングスポットとしては、相応しくありません。流れの激しいポイントがある他、そのために魚群も浅瀬ではさほど見つけることが出来ないからです。
【 沖縄の昔話、カイジ浜 】
★ 〒907-1101 沖縄県八重山郡竹富町竹富にあるのがカイジ浜で、アクセスは島内タクシーが便利です。島内で自転車を借りて、サイクリングを楽しむ観光客の姿も見受けられます。
・ 星砂も見つけることができますが、持ち出しは禁止なので、注意をしてください。近くにはお土産屋さんもあり、星砂の小瓶やキーホルダーなどの雑貨も販売されているので、こちらを求めるのもおすすめです。
いかがでしたでしょうか、今回は竹富島のカイジ浜、通称「星の砂浜」にまつわる沖縄の昔話をお伝えしました。現在では星砂も貴重なものとなり、カイジ浜でも持ち帰り禁止になっているとは、驚かれた方もいるのではないでしょうか。
この沖縄の昔話に出てくるように、今でも竹富島の神職の方々は、祭りの日になると香炉に星砂を入れ、お線香の煙を天へ届けています。
沖縄には天然の砂浜自体が少ないものの、沖縄本島でも昔話に出てくるような砂浜はありました。北部の砂浜には、手の平に乗せると見つけられる星の砂がありました。
また、竹富島は毎年訪れる熱狂的な観光客のファンもいるほど、コアな人気がある島です。赤瓦の民家と石垣が賽の目に並び、観光サービスとはなりますが、水牛車も通っています。
島に唯一ある商店も気ままに開く竹富島、星砂の沖縄の昔話とともに訪れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
星砂にまつわる沖縄の昔話
・北極星と南の星が結婚をする
・子どもを授かり、竹富島の浜で出産する
・海の神様が怒り、大蛇に子を食わせてしまう
・星の子の亡骸が東美崎に流れ着く
・東美崎の御嶽の神が、亡骸を香炉に入れる
・線香の煙と共に、祭りの日だけ親子が会える
・今でも祭りの日には香炉に星砂をくべる
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