遠距離の親が突然の要介護!②認定の流れと費用の原則
遠距離の親が突然の要介護!子どもとしては今の家族の暮らしもあるし、「どうしたら良いのか…。」途方に暮れる方も多いですよね。けれども今では、遠距離に暮らしながら、親の介護を補助する子ども世代が多くなりました。
これはひと昔前のように、「必ず家族が面倒を見なければならない」と言う考え方から、「介護はお金を出してプロに任せる」との考え方に移行してきた表れでもあります。
けれども「プロに任せるにしても、介護費用は大丈夫なのだろうか…」と不安になりますよね。
そこで今日は、「遠距離の親が突然の要介護!①退院まで4つのポイント」に続き、要介護認定を受けるまでの流れと、支給される介護費用についてお伝えします。
遠距離の親が突然の要介護!②
認定の流れと費用の原則
要介護認定調査のためにできる「準備」
遠距離の親が突然の要介護状態になったなら、入院中に「介護保険申請」を市町村の「地域包括センター」で行うことは、前の記事「遠距離の親が突然の要介護!①退院まで4つのポイント」でお伝えしました。
介護保険申請を行った後に行う手続きは「要介護認定調査」です。
【 遠距離の親の介護問題☆「要介護認定調査」 】
★ 要介護認定には「要支援1」~「要介護5」まで、介護を要する度合いの7つの段階があります。「要介護認定調査」はその被介護者(親)が、この7つの段階のどこに当たるのかを判断する調査です。
→ 要介護認定調査は日程を調整して、被介護者(親)と直接面接を行い、介護認定をします。
介護保険申請をすると、数日後に地域包括センターから連絡が来るので、ここで面接日(調査日)を決めてください。
ただこの時、調査員は実際に面談した様子で要介護認定の段階を判断しますが、それだけでは説明しきれない病状や症状もありますよね。ですから、積極的に情報を用意しておくことをおすすめします。
【 遠距離の親の介護問題☆調査へ向けた準備とは 】
① 現在の親の暮らしを把握しておく
・趣味 … 習い事や地域サークルへ参加をしていないか…、など。
・仕事 … 過去の経歴はもちろん、今では在宅で仕事をしていることがあります。併せて、パソコンやスマホをどれだけ活用できるのかも確認してください。
・友人 … 頻繁に会う知人友人がいれば、確認をして会っておくと良いかもしれません。面会した時には、外から見た親の人柄も聞いてみてください。
・娯楽 … 好きなテレビ番組や有名人、スポーツなど。
・食べ物の嗜好 … 施設へ入所する可能性があるのなら、食べ物の嗜好は重要です。どのようなものが好きなのか…、良く食べていたものを確認します。
② 医師から意見書をもらう
・ 親に掛かりつけ医がいるのなら、その病院まで意見書作成をお願いしに行ってください。
・ 施設へ入所することになりそうなら、通っていた歯医者さんへも出向いて、歯の状態が分かる書類をもらうと便利です。
③ 通帳など、お金に関わるものを確認
・ 介護保険被保険者証
・ 健康保険証
・ お薬手帳
・ 通帳
・ 印鑑
・ カード類(キャッシュカード、クレジットカード等)
…などなど、暮らしや手続きに必要なものをまとめて保管します。
③の「介護保険被保険者証」は「遠距離の親が突然の要介護!①退院まで4つのポイント」でお伝えしたように、番号のみでも分かれば良いですが、分からないようなら、再発行手続きを取ってしまうと後々まで役立ちます。
医師からもらう意見書ですが、親に掛かりつけ医がいないことも多いです。この場合には、現在入院していればその病院で依頼するか、もしくは介護申請をした地域包括センターに相談をしてください。
体験談続出!認定調査は必ず一緒に
遠距離の親だと、介護申請だけでも親の住む地域まで出向かなければなりません。電車で数時間などならまだしも、時には飛行機に乗って、帰省する人もいますよね。
そのため介護申請までは出来ても、「数日後に行われる要介護認定調査には、立ち会うことが出来ない」として、受け答えは元気な親のみが調査員を出迎える家も多いです。
けれども、人は皆、自分がいつまでも元気だと思っていますし、そう思いたいもの…。そのために、本来の姿を見せずに気張って調査員を「おもてなし」して、結果的に正確な要介護認定を受けられない家が多いです。
【 遠距離の親の介護問題☆要介護認定調査は立ち会う 】
★ 特に「痴ほうが入っているかな…」と思う親だと、調査員が入る日だけは痴ほうの症状がなくなるケースも見受けられます。
→ 転んで足腰が痛いのに、我慢して動いてお茶を出す…、などの事例は日常茶飯事なので、一緒に子どもが立ち会って、日ごろの姿を調査員に伝えてください。
この時、調査員が帰った後でほっと一息してから、「あれを言うのを忘れた」「これも伝えておくべきだった…」などと後悔する方もいます。何せ74項目もの質問がされますから、流れてしまう事柄もしばしばです。
その対策として、調査の日には調べておいた物事や、日常生活に支障をきたしている症状、心配な事柄をメモして、確実に伝えられるようにしてください。
【 遠距離の親の介護問題☆上手に調査員へ伝える 】
★ けれどもプライドの高い親も多く、「一緒に調査を受けている時には、正直に言えない…。」との相談も多いです。
→ この時には、見送るそぶりを見せて帰り際に玄関先で、そっと伝えてみてはいかがでしょうか。
子ども世代が「怯える!」介護費用の原則
要介護認定調査は定期的に行われますが、ひとつの体験談では、当初「要介護5」と認定されたものの、数年後の要介護認定調査で家族が同伴しなかったために、「要支援2」になってしまった事例があります。
今の80代前後は先の戦争も経験した世代です。ここぞと言う時の頑張りは目を見張るものがあります。
誇りもあり、また、「人にみすぼらしい姿を見せたくない」ですとか「人をもてなす」気持ちが強い高齢者も多いです。
それはいつまでも元気に過ごすためにとても重要な人間性なのですが、一方で要介護認定調査では、本来の要介護認定が判断されにくいことに繋がり、それはそのまま、支給額へと影響します。
【 遠距離の親の介護問題☆定期的な調査も同伴する 】
★ 前述の事例では、脳梗塞により半身麻痺を発症した事例でしたが、本人は定期的な調査の日を目標にリハビリを続けていたようです。
→ この事例で家族が頭を抱えたのは、入所していた施設が要介護3以上の人しか入所できなかったためでした。
要介護5の時には支給金もそれなりに出ていましたので、何とか賄うことができていましたが、急遽、要支援2でも入ることができる施設を探さねばならず、結局退所日までに見つけた施設は有料老人ホームとなり、グンと支出が増えます。
【 遠距離の親の介護問題☆「支出」の線引きをする 】
★ 遠距離の親の介護に限らず、家族の体の問題になると、ついつい「必要な費用」が基準になり、必要額をかき集める様子を見受けます。
→ けれども長い介護では、ずっとかき集める訳にはいきませんよね。自分達家族の暮らしや、子どもの教育費もあるはずです。
… ですから、遠距離の親の介護に纏わる費用は、あくまでも親のお金と給付金から出すと決め、地域包括センターで相談をしながら決定してください。
また、「お金が出せない代わりに自分達の労力で頑張る」と言う家庭もありますが、これも長続きはしません。介護者の方が参ってしまいます。
最初が肝心です。親の介護保険と財産や資産、収入を調べて、「出せる費用」を最初に決め、「その範囲内で介護のプロに依頼をする」として、地域包括センターのケアマネージャーに相談をしてください。
いかがでしたでしょうか、今日は遠距離の親が突然要介護になった時に、慌てずまず、冷静に対処をしたい事柄を、前回の記事「遠距離の親が突然の要介護!①退院まで4つのポイント」に続いてお伝えしました。
けれどもまだまだ、これだけでは足りません。後々子どもが自分や自分の家族を犠牲にしないよう、遠距離の親の介護を続けるのであれば、最初にある程度の「把握」をしておかなければなりません。
子育てでも援助や補助制度を知ることで、グンと楽になるように、介護も「知識」によって、労力やストレスはグンと変わり軽くなります。
この後、まずは介護保険の支給額が、要介護段階の違いによっていくら出るのか…、また、現在の親の収入や財産の把握は不可欠です。
これらの作業についてのポイントは次回の記事「遠距離の親が突然の要介護!③資金繰りと保険支給額」でお伝えします。
まとめ
要介護認定調査の準備とポイント
・現在の親について調べメモにしておく
・医者に意見書を作成してもらう
・認定調査は必ず立ち会う
・その後の定期的な調査にも同伴する
・「出せる費用」を基に資金繰りをする