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【沖縄の御願】「ミキ」って何?神酒5つの基礎知識

【沖縄の御願】「ミキ」って何?神酒5つの基礎知識
沖縄の御願では「ミキ」をお供えする「ウマチー」がありますよね。今ではスーパーなどで売られる(お酒ではない)「ミキ」飲料や、ヤクルトなどで代用する家や地域も増えました。

 

けれども糸満市などでは、ウマチーを集落や門中単位で行う地域も見受けられ、その年に担当者が、沖縄の御願の日にミキを作るのです。

 

その昔の沖縄の御願では欠かせなかったミキ、どのような物なのかを知り、後世に残したいですよね。そこで今日は、沖縄の御願でのお供え物、「ミキ」についてお伝えします。

 



 

【沖縄の御願】「ミキ」って何?
神酒5つの基礎知識

 

沖縄の御願で「ミキ」を供える「ウマチー」


沖縄の御願でミキを供える行事は「ウマチー」と呼ばれる、稲や穂、粟の収穫祈願や収穫祭です。

 

【 沖縄の御願でミキを供える「ウマチー」 】

 

★ ウマチーは一年で四回、二月・三月・五月・六月に行われますが、ただ、それぞれに意味合いは少しずつ違います

 

① 二月ウマチー(ニングァッチウマチー) … 麦穂祭
麦の豊穣祈願として行います。そのためお供えするミキは、まだ成熟していない穂を醸して作ります。

 

② 三月ウマチー(サングァッチウマチー) … 麦大祭
麦の収穫祭として行います。そのため沖縄の御願で使うミキも、収穫した(完熟した)麦を使用します。

 

③ 五月ウマチー(グングァッチウマチー) … 稲穂祭り
稲の豊穣祈願です。二月ウマチーと同じく、まだ完熟していない稲で作ります。

 

④ 六月ウマチー(ルクグヮッチウマチー) … 稲大祭 
稲の収穫祭です。三月ウマチーと同じく、収穫したての稲から作るミキを供えます。

 

そして粟の栽培が盛んだった八重山諸島では、麦や稲の代わりに粟を醸して作ったミキが供えられる、「粟プース(宮古地方)」や「プーリィ」が行われてきました。

 

 

沖縄の御願で供える「ミキ」とは?


このように、沖縄の御願「ウマチー」で欠かせない「ミキ」ですが、神酒の意味合いがあり、前項でお伝えしたように、本来は稲や穂、粟を醸して作ったお酒です。

 

ただ、最近ではそもそも麦や稲、粟の栽培が衰退し、沖縄では御願の意味合いが商売繁盛や健康を祈願する意味合いにも変わってきたことから、ミキの存在もさまざまに変化しています。

 

【 沖縄の御願:現代のミキ 】

 

★ 今ではアルコール成分のない甘い飲み物であることが多く、さまざまな作り方があります。

 

① 米を挽いて水、砂糖と共に炊く。
② 炊いた米に麦粉と水を加えてミキサーにかける。
③ ゆるい米の粥を作る。
④ ゆるい粥にサツマイモを入れ一晩寝かせ、生米を加えて発酵させる。
⑤ 米を蒸して麹と合わせ発酵させる。

 

…などなどの方法があります。

 

詳しくは別記事で書きますが、このような作り方は集落や大きな門中単位で、ポリバケツで作りふるまう時に手作りするケースが多いです。今では市販の「ミキ」やヤクルト、ヨーグルトを供える地域も多くなりました。

 

 

神酒は米ばかりではなかった


実は沖縄の御願では、「ミキ」は米を醸して作った飲み物に限られていました。確かに現代ではほとんどの神酒が米から作ったミキですが、もともとはさまざまな神酒があったんです。

 

【 沖縄の御願:ミキ以外の神酒 】

 

・ シロマシ … 稲や麦で作りますが、まだ未成熟な段階で作る神酒は「シロマシ」「シルマシ」などと呼ばれていました。穂祭りの神酒です。

 

・ ンジジンス … なかでも麦で作る神酒は、沖縄の御願ではミキではなく、ンジジンスと呼ぶ地域もありました。

 

・ ンムンク … 芋から作る神酒をンムンクと呼びます。

 

 

口噛み酒だった、ミキ


ひと昔前には沖縄の御願で供えるミキは、「口噛み酒」でした。少し前にヒットした「君の名は」で出て来た神酒などがそれです。

 

【 沖縄の御願:ミキの歴史 】

 

★ 少し前までは、門中や集落の若い女性が米を噛んで吐き出し、発酵させて作る方法が主流だったと言います。けれども衛生上の問題で禁止になりました。

 

・ その後、それぞれの地域や門中で独自の方法でミキを作るようになり、前項のようにさまざまな作り方が産まれたのです。

 

沖縄の御願では「ミキ」以外にも、さまざまな呼び名があります。例えば首里方面では「ウンサク」、島々では「ミシャグ」などなどがあるのですが、これらの語源は「口噛み」が由来とされています。

 

 

沖縄県内では馴染み深い、市販のミキ


少し触れたように今ではアルコールのない、砂糖を加えた甘いミキが多くなりました。実際に飲むとドロッとしていて、甘みと酸味が口と鼻を通ります。

 

正直、現代では沖縄の御願以外でミキを買おうと思う若い人々は少ないのかもしれません。ただ滋養の高いミキは、昔からスーパーに並び、沖縄の人々に愛されてきました。

 

【 沖縄の御願:市販のミキ 】

 

★ ミキの販売元と言えば宮古島ではないでしょうか。有名な販売元は宮古のお菓子販売業者である「マルマサ商店」です。

 

・ 「飲む極上ライス」の宣伝文句でも有名で、今では「ミキ」だけではなく、「ウコン入りミキ」や玄米で作った「黒糖玄米」、紅芋で作った「紅いも」など、いくつかの種類も販売されています。

 

また、宮古の公設市場へ行くと「げんまい(ゲンマイ)」も多く販売していますが、これもミキと同じ飲み物です。げんまいの方が少し澱粉質が高いなどの話もあります。

 

 

 

いかがでしたでしょうか、今日は沖縄の御願のお供え物、ミキについてお伝えしました。沖縄の御願行事のなかでも、ミキはウマチーで供えられる神酒です。

 

本文でお伝えしたように、ミキは他にもさまざまな呼び名があります。他にも糸満地域では「ジンス」とも言い、これは「神酒」をそのまま音読みした呼び名です。

 

ただ、宮古島のマルマサ商店の「ミキ」が、沖縄のスーパーではよく見かける馴染みの深い滋養ドリンクとなり、次第にミキが定着していきました。

 

家でも手作りできるミキ、今では家庭の繁栄や商売繁盛として拝む家も増えたので、ウマチーでミキを手作りしお供えしてみてはいかがでしょうか。

 

 

まとめ

ウマチーで供えるミキとは?

・米や麦、粟などを醸して作った神酒
・ウマチーと呼ばれる豊穣祭で供える
・もともとは米を噛んで発酵させた
・今ではさまざまな作り方がある
・今ではアルコール成分がないミキも多い
・市販の「ミキ」も販売されている
・ヤクルトやヨーグルトを供える家もある

 



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