沖縄の相続、継承問題☆起こりやすい3つのトラブル
沖縄での相続問題は、現代の法律上のルールと昔ながらのしきたりとが入り混じり、難しい側面がありますよね。時に「争族」とも表現される沖縄の相続問題、「自分達はそんなに資産もないし、兄弟仲良いから大丈夫!」なんて方もいるかもしれません。
けれども、これは沖縄に限らず相続において、全国的に言える傾向なのですが、現代では「相続財産が大きいからトラブルになる。」訳でもありません。トラブルが起きて、家庭裁判所に移行する事例でも、300万円以下のものも増えてきているのです。
そして不安になるのが、沖縄でも相続トラブルが起きる前は、案外兄弟の仲も良かった…、と答える方も多いこと。そう考えると、事前にその理由を理解して、兄弟間の争いを避けたいですよね。
そこで今回は、沖縄での相続問題の相談事例に多い、5つのトラブル例をお伝えします。
沖縄の相続、継承問題☆
起こりやすい3つのトラブル
確かに長男なんだけど…
沖縄ならではの相続トラブルの背景にあるのは、やはりトートーメー。位牌やお墓の継承は確かに全国的にもあるものですが、沖縄の場合には位牌やお墓を長男が受け継ぐことが、他地域よりもより重要な事柄とされているのです。
★ けれども現代の社会では昔と違い、就職や転勤をきっかけに他県に移住している子供も少なくありません。仕事が乗りに乗っていて、家族で一戸建ても購入!そんな時、お墓や位牌の継承の話が来た体験談です。
・ お墓を継承すると言うことは墓守をしなければなりません。毎年何回もの年中行事に門中墓に入っている人々の法要…、その度に家に帰る訳にも行きません。
一方で次男夫婦は母親と同居しているため、「自分は他県で居を構えてしまっているから、継承が出来ない。弟が継ぐのでは駄目なのか?」と伝えたところ、「長男が継ぐ事になっている。」と両親や親族からの反対を受けてしまいました。
次男が家を継ぎ、長男が位牌とお墓?
この体験談にはもちろん続きがあります。長男はそうは言われても、沖縄へ今帰るのは難しい…。そのため、「次男が同居している事はどうするんだ?」と話をしたところ、次男はこのまま同居、位牌とお墓だけを長男が引き継ぐように言われたのです。
★ 「それでは、あまりにも自分だけに負担ばかりが掛かるじゃないか!」とトラブルに発展。それでも「親族は長男が継承すべき」としたため、長男は位牌のみ継承することになりました。
・ ただこの後も、その位牌を実家に置いておくのか、長男の家に移すのか…、で問題に。結局、位牌は次男夫婦が「預かる」ことになったのです。
どうして長男が全部相続?
一方で、位牌やお墓を継承した長男が、両親の財産を全部相続する事になり、他兄弟から反対を受けた沖縄での相続トラブルも多々あります。沖縄での相続財産へのしきたりと、現代の法律との食い違いが生んだトラブル、とも言えるのではないでしょうか。
★ この時、長男も喪主となった母親、親族共に、「長男が全財産を引き継ぐ」と考えていたため、残りの兄弟は相続財産の全容も伝えられないままでした。
・ 概要が分からないまま、「相続放棄の印鑑押して。」とだけ言われた兄弟が感情的になり、トラブルに発展した結果、兄弟が「遺留分申請」をしたため、弁護士が介入した事例もあります。
この場合、まずは長男が誠意を持って、沖縄での相続財産(財産目録)の全容を兄弟に見せて説明をし、了解を得てから捺印をお願いするだけで、兄弟からの理解は大きく違ってくる点も、特徴的なケース。理解をしっかり求めれば回避できるかもしれません。
法律的には均等に分割なんだろうけど…
前述したような二つのトラブルの原因が色濃く出ているのが、Aさんの体験談。Aさんは長男でしたので、流れの通りにお墓と位牌を継承することになりました。そこまでは納得していたのですが、その後の遺産分割協議で不満を持つようになります。
★ 沖縄で位牌やお墓を引き継ぐと言うことは、墓守をすると言うこと。前述したように多くの行事や法要を中心となって取り仕切らなければなりません。
・ しかも今回引き継いだ門中墓は古く、毎年のように修繕を繰り返すようになっており、継承したらお墓の建て替えも迫られていたのです。
そんな経済的にも体力的にも負担の大きい中で、残りの財産はすべて分割。せめてお墓の管理費や修繕代金だけでも、相続財産から出してもらいたいと、トラブルに発展しました。
いかがでしたでしょうか、確かに全国的にも長男が家を継ぐ、と言う考え方はありますが、現代ではずい分緩くなり、時には女性が家を引き継ぐ事例も見られるようになりました。一方、沖縄では昔ながらのトートーメー文化が息づいています。
そのため沖縄での相続トラブルは、全国的なものとは赴きが少し違うもの…。特に全国的にお墓は寺院墓地や民間霊園に建てられているケースがほとんどで、お墓を継承したとしても、毎年の管理費などの経済的な少しの負担だったりもするのです。
沖縄の個人墓地の場合、お墓を継承するとなると、自分達で管理しなければなりませんから、お墓の掃除や管理と墓守自体がより大変。仏壇事を考えても、なかなか遠方で住みながら継承するのは難しい側面があります。
このような事例をいくつか確認しながら、兄弟家族の気持ちにも配慮しつつ、絆が深まるような沖縄での相続をしてください。
まとめ
沖縄での相続トラブルに多い事例
・他県に移住している長男が継承を依頼される
・大変な位牌やお墓だけ長男、家は次男が相続
・位牌やお墓を継承したため、長男が全財産を相続
・大変な負担でお墓を継承するのに、財産は分割