遠距離介護が絆を深める☆経験者がすすめる5つの理由
まだまだ日本では遠距離での介護を、良しとしない風潮がありますよね。親が要介護状態になった時、夫婦であれば片方が仕事を辞めて在宅介護に切り替えたり、親の家へ引っ越すケースも見られます。
けれども一方で、ひと昔前とは違い、就職難も叫ばれていることを考えれば、できれば収入源を断つ選択は、避けたいはずです。
仕事を選ばなければ働くこともできますが、一度仕事を辞めてしまえば、以前の待遇を得ることは、難しい方が多いのではないでしょうか。
終わりのない介護問題、親が要介護状態になっているからこそ、経済的に少しでも安心できる状態を保ちたいですよね。そこで今回は、自分の暮らしも持ち崩さない、遠距離介護のメリットと、それでも絆を深めるコツをお伝えします。
遠距離介護が絆を深める☆
経験者がすすめる5つの理由
生活を変えない選択のメリット
まず、遠距離介護を決断したと言うことは、今現在、お互いに同居していない、近くに住んでいない状態だったのではないでしょうか。
【 遠距離介護のメリット①生活を変えない 】
★ 介護者にとっては在宅介護と比較して、自分の社会的立場を守り、安定した収入源を守りながら、親の介護ができます。
・ 一方、被介護者となる親にとっても、長年住み慣れた環境を変える必要がありません。高齢者にとっては環境の変化は大きなストレスであり、引越しをきっかけにして老人うつ病を患う例は多いのです。
お互いに相手の生活に引っ張られず、自分の生活を守ることは、長い介護生活のなかで大事なこととなり、特に介護者が社会との接点を切っていくことは、どちらかがうつ状態になった時、お互いに引きずられて危険でもあります。
介護には終わりがない
前項でもお伝えしたように、遠距離介護の選択は介護を「長いマラソン」と考えてみてください。そう考えれば、安定した収入も必要ですし、介護者の安定した精神状態や健康も不可欠です。
【 遠距離介護のメリット②他人との連携体制が取れる 】
★ 特に日本人に言えることなのですが、在宅介護で「自分が頑張れば解決できる」問題では、ついつい介護者一人が背負って、その頑張りで生活を成り立たせてしまう傾向にあります。
・ けれども実際には介護者の健康も過信はできません。やはりどこかで、第三者や周囲の人々に協力を仰ぎ、連携を取る必要があります。
そんな時、始めから物理的に「頑張りようがない」環境に身を置くことで、地域のケアマネージャーや民間の介護サービスなどと連携するようになりやすいのです。
介護保険はひとり暮らしが優先
要介護状態になると、公的な介護保険の各種サービスが受けられるようになりますが、例えば老人ホームなどの施設などになると、飽和状態にあり、いつまで経っても待機している方も少なくありません。
【 遠距離介護のメリット③利用が優先される 】
★ この時、同居家族がいる人よりも、ひとり暮らしの要介護者が優先的に入居、利用できます。
・ 有料の老人ホームなどになると、経済的にも大きな負担が掛かりますし、介護保険サービスをスムーズに利用できないと、親(被介護者)の社会的接点も失われてしまいかねません。
要介護状態にもよりますが、体を動かすことがおっくうになると引きこもり状態になり、だんだんと精神にも影響して、悪循環にもなり兼ねません。
そのため、早くスムーズな施設との連携は、介護者にとっても助かるのです。
老人うつ病や廃用症候群を防ぐ
老人うつ病や廃用症候群(寝たきりなど、長期間動けない状態になった患者が掛かりやすい、体のこわばりや気持ちの塞がりなどの症状を表します。)は、ひとり暮らしの高齢者が掛かるイメージがありますが、そんな事もありません。
【 遠距離介護のメリット④心を健康に保つ 】
★ 在宅介護をしていると、ついつい介護者がかいがいしく世話を焼いてしまいがちですが、被介護者の性格や性質によっては、それが「無価値感」を招いて、老人うつ病を患うことも多いのです。
・ さらに、かいがいしい介護は、被介護者が自分で動くきっかけを奪いかねません。ちょっとした手続きや支払いなどでも、小さな社会との接点になるので、より健康的な精神を保ちます。
そのため、「要介護者だから…。」と周囲が先走って動き、本人を休ませるだけではなく、敢えて動いてもらってメリハリのある暮らしにするのも、賢い関係性のひとつなのです。
民間の介護保険があるなら、より安心
遠距離介護のデメリットとして、在宅介護よりも金銭面では負担が掛かりやすい点です。
ただこれも、遠距離介護をすることで、介護者の仕事を守ることができて、収入が安定していれば、プラスマイナスで考えた時には、デメリットでもない、と言う考え方もあります。
それでも費用面は気になるところではないでしょうか。
【 遠距離介護の注意点☆金銭面での心得 】
★ 特に兄弟がいる場合に言えることですが、介護費用は被介護者(親)のお金から出して、後々の不満が残らないように対処してください。
・ 介護を始める時には、親の預貯金や介護保険を確認し、介護保険に入っていれば、問い合わせるなどして、その範囲を確認しながら必要分はもらえると、より負担が少なくなります。
基本的には地域のケアマネージャーと連携しながら、公的な介護保険で賄える介護サービスを利用しながら、民間の介護保険を利用して、プラスαの安心を得ると考えると、安定した収支を保つことができておすすめです。
いかがでしたでしょうか、今回は遠距離介護を選択することに、罪悪感や躊躇を感じる方々へ向け、遠距離介護のメリットと注意点をいくつかお伝えしました。
最近では一人暮らしの高齢者が増えたため、自治体の介護保険サービスだけでも充分に手厚い介護が期待できる市町村もあります。
訪問介護や訪問看護、通所デイケアだけではなく、介護状態が軽い一人暮らしの高齢者に対しては、予防介護として定期的な集まりを催す自治体も見られるようになりました。
さらには定期的に一人暮らしの高齢者家庭に訪問する、見守りサービスを行っている地域もあります。
まずは要介護認定を受け、ケアマネージャーと相談をして、密な連携を取りながら、日々の連絡をこまめに行って、遠距離介護を始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
皆が勧める、遠距離介護のメリットとは
・現在の生活をお互いに守ることができる
・一人で抱え込まず、複数人の連携介護ができる
・介護サービスの利用が優先される
・自発的に動いて、老人うつ病を予防する
・介護に関するお金は親のお金から賄う