【沖縄の旧暦六月】神酒を供えるウマチー・カシチー
沖縄の旧暦六月は、「神酒(ミキ)」を供えることで知られる稲穂の収穫祭(祭祀)である、「ウマチー」や「カシチー(強飯)」がありますよね。
この「ウマチー」は農耕が盛んだった琉球王朝時代には大切な祭祀行事で、王朝に仕えた神職であるノロを中心にして、集落の御嶽を馬に乗ってゆっくりと、官職の人々も同行しながら巡拝しました。
現在ではこのような祭祀は見られませんが、集落によっては、集落や門中でバケツいっぱいに作ったミキを配るなどの様子も見受けます。
そこで今日は、沖縄の旧暦六月の年中行事を、旧暦カレンダーと共にお伝えします。ぜひ、参考にしてください♪
【沖縄の旧暦六月】
神酒を供えるウマチー・カシチー
旧暦六月の「ウマチー」と「カシチー」
来月の旧暦七月・八月の旧盆や旧盆準備に向けて、少し静かな様子もある旧暦六月ですが、都心部こそ見られなくなったものの、地方集落や離島では、今も見られる農耕儀礼が「ウマチー」や「カシチー」です。
【 沖縄の旧暦六月、年間行事 】
① 旧暦6月1日(新暦2019年7月3日・水曜日) … ヒヌカン(火の神)・チィタチ(一日)の御願
② 旧暦6月15日(新暦2019年7月17日・水曜日) … 六月ウマチー(ルクグヮッチウマチー)
③ 旧暦6月15日(新暦2019年7月17日・水曜日) … ヒヌカン(火の神)・ジュウグニチ(十五日)の御願
④ 旧暦6月25日(新暦2019年7月27日・土曜日) … カシチー(強飯)、若しくは「アミシの御願」・「ミーメーウイミ(新米折目)」
沖縄の旧暦六月の年中行事は以上です。…ただ、全国的には「鰻を食べる」ことで有名な土用入がありますよね。コチラは新暦2019年7月20日の土曜日です♪
新暦2019年7月15日は「海の日」でもありますから、海で家族のレジャーを楽しんだり、うな重をいただいたり…、と家族行事が増えそうな一ヶ月です。
六月ウマチーは稲の収穫祭
沖縄の旧暦行事で「ウマチー」は、六月だけではなく旧暦2月・3月・5月・6月(15日)の四回の祭祀がありますが、本来はそれぞれに少しずつ、意味合いが違います。
2月・3月は麦の豊作祈願(2月が祈願祭・3月が感謝祭)でしたし、5月・6月(5月が祈願祭・6月が感謝祭)は稲の豊作祈願です。
ですので、現在まで残るウマチーとしては、感謝祭(大祭)に当たる5月ウマチー(グングァッチウマチー)と、今回の6月ウマチー(ルクグヮッチウマチー)が多いのではないでしょうか。
【 沖縄の旧暦六月、「六月ウマチー」 】
☆ ウマチーと言えば「神酒(ミキ)」ですが、本来の六月ウマチーでは、そのなかでも「ウンサク」をお供えするのが特徴です。
・ 「ウンサク」はすでに実った稲穂を醸して作る神酒(ミキ)で、大昔には若い女性がお米を噛んで瓶に移し、三日三晩醸しました。
…一方、祈願祭である2月や5月の麦や稲は、まだ実っていませんので、未熟な麦や稲をすり潰した後に水と合わせて作ります。(コチラの名前は「シロマシ」です。)
…この「ウンサク」は本州で言うところの「口嚙み酒」に当たり、少し前にはこの「口嚙み酒」が、日本で大ヒットとなった某アニメ映画にて、劇中で重要な役割として出て来るため、一躍有名になりました。
ウマチーや神酒(ミキ)についての詳しい記事を下記にお伝えしますので、コチラもぜひ、参考にしてみてください。
【 沖縄の旧暦行事、ウマチーや神酒(ミキ) 】
・沖縄カレンダーで見る「ウマチー」って?その意味と行事
・【沖縄の御願】「ウマチー」って何?豊穣祭5つの豆知識
・【沖縄の御願】「ミキ」って何?神酒5つの基礎知識
沖縄の旧暦6月25日(新暦7月27日)は「カシチー」
沖縄の旧暦6月25日にも、今度は収穫祭となる農耕儀礼「カシチー」が行われます。
旧暦2月・5月で麦稲の豊作祈願、旧暦3月・6月で無事に育った感謝祭を行い、続いて旧暦6月25日(と8月)には、稲を収穫したことの報告と感謝祭を行う…、と言う流れです。
ちなみにこの「カシチー」は、六月カシチー(ルクグヮッチカシチー)だけではなく、八月カシチー(ハチグァッチカシチー)もあります。
【 沖縄の旧暦6月25日、「カシチー」 】
☆ 「カシチー」は漢字で書くと「強飯」と書くように、この日、それぞれの家庭では収穫したてのお米で「おこわ」をこしらえ供えるのが、習わしです。(ですのでもち米を使用します。)
・ また、「カシチー」は集落行事、大きな門中では門中行事の色合いが強いです。
…ですので、カシチーでは集落を上げての大綱引きなどが行われていました。
現代でもウマチーやカシチー、また旧暦8月15日に行われる、沖縄の月拝みの旧暦行事のなかのどこかの日程で、大綱引き行事を行う集落が多いです。
いかがでしたでしょうか、今日は沖縄の旧暦6月…、2019年度では7月3日~31日に当たる年中行事をお伝えしました。
旧暦6月は農耕時代には欠かすことができない儀礼、ウマチーやカシチーが続きます。
カレンダーではお伝えしましたが、この「カシチー(強飯)」は、地域によっては「アミシの御願」(南部地方)や「ミーメーウイミ(新米折目)」(中部地方)などの御願に置き換えられます。
どちらかと言えば、集落行事や門中行事の色合いが強いために、暮らしのなかでは、あまり馴染みのない家庭も増えたかもしれません。(農作自体も衰退していますし…)
もしも心に留まることがありましたら、この機会に六月ウマチー(新暦2019年7月17日)や六月カシチー(新暦2019年7月27日)には、簡単にお酒(ミキでも)やおこわを、ヒヌカン(火の神)やお仏壇へ供えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
沖縄、旧暦六月の年中行事とは
・新暦2019年では7月3日~31日に当たる
・旧暦6月1日(2019年7月3日)チィタチの御願
・旧暦6月15日(2019年7月17日)六月ウマチー
・旧暦6月15日(2019年7月17日)ジュウグニチの御願
・旧暦6月25日(2019年7月27日)カシチー
・旧暦6月25日(2019年7月27日)アミシの御願(一部南部)
・旧暦6月25日(2019年7月27日)ミーメーウイミ(一部中部)